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原発災害・「復興」の影
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【 6 】
東電救済へ「支援機構」設立 責任あいまい、国民につけ

経産省(左)がつくった東電(右)を救済する仕組みには「賠償の責任をあいまいにしたまま」との批判の声が聞かれる

 「支援機構の設立前、金融機関の関係者が熱心に動いていた」。東京電力福島第1原発事故による賠償の資金調達のために国などがつくった原子力損害賠償支援機構。その背後で、銀行などが東電の破綻回避に向けた動きを展開していたと、複数の経済産業省関係者はほのめかす。
 原発事故後の2011(平成23)年4月時点で、東電には銀行など78金融機関から計3兆9269億円の融資が入り込んでいた。東電が自力で賠償を行おうとすれば、早晩破綻は避けられず、金融機関は大きな損失を受けることとなる。
 「東電の債務超過のリスクが表面化すれば、早期復興の実現に大変大きな障害となる」。支援機構設立をめぐる国会審議の意見陳述で、全国銀行協会の会長(当時)で三菱東京UFJ銀行社長(同)の永易克典(67)は、支援機構法案の成立が遅れれば東電破綻の恐れが高まり「失望売りの広がりから、日本企業全体の株価に悪影響を及ぼす」と市場への影響を懸念し、機構法案の成立をせかした。

 株主と債権者の責任
 「本来であれば東電は債務超過で破綻していたと思うが、それを回避するのが機構法の前提にあった」。永易と同席し国会で賠償の在り方について意見を述べた大阪市立大教授の除本(よけもと)理史(まさふみ)(42)はこの経緯を解説する。「東電を法的整理すれば、株主は一定の減資を求められ、金融機関などの債権カットも避けられない。株主と債権者の責任を問い、賠償の原資をはき出させるというのが本来の筋道だが、機構法では賠償の責任を明確にしないまま国民に負担をつけまわすことになった」

 電気料金転嫁見込む
 国は賠償資金を民間から借り入れているが、その利払いなどには税金が投入されている。また国は、中間貯蔵施設の整備費用も機構を通じて東電に支援する方針を発表。この費用は原発を抱える各電力会社も負担するため、電気料金への転嫁が見込まれる。
 自身も避難区域の周辺住民として一律賠償を受けた郡山市の行政書士根本重朋(38)は言葉を選びながら言う。「国が原発政策を推し進めてきた経緯もある。その意味では、国民の負担はやむを得ない部分もあるのではないか」(文中敬称略)

(2014年5月2日 福島民友ニュース)



( 2014年5月2日付・福島民友新聞掲載 )
 

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