【湯本―小高工】４回表小高工無死一塁、野原が先制の中越え適時二塁打を放つ。捕手伊達＝開成山球場

　第９３回全国高校野球選手権福島大会第３日は１５日、郡山市の開成山球場など５会場で１回戦７試合、２回戦５試合を行った。東京電力福島第１原発事故の影響でサテライト実施校となっている小高工は７―６で湯本を破って３回戦進出。湯本に終盤追い上げられたが、中盤のリードを守り切った小高工に軍配が上がった。県立高唯一のシード校の第４シード・原町は終盤に打線が爆発、７―０の８回コールドで船引を下した。序盤から得点を重ねた双葉は１４―０の８回コールドで好間を退けた。郡山東は１３―６で磐城に７回コールド勝ち。第４日の１６日は、開成山球場など５会場で２回戦１５試合を行う。

　小高工ナイン、“団結力”より強く
　震災の影響で、散り散りになり、全体練習もままならない状況だった小高工だが、湯本戦では、前回４強入りの強さを見せ、３回戦に駒を進めた。
　６回まで無安打に抑え、自らも打点を挙げたエース野原史貴（３年）をはじめ、持ち味の堅守を誇るナインは順調に試合を先行していた。しかし、７回に野原の投球が乱れ始めると、８回までに１点差に詰め寄られた。
　主将鶴島啓太（３年）は「みんなに焦りが出ると思ったが、意外なほど落ち着いていた」と振り返る。継投の丹伊田浩夢（３年）も冷静な投球でリードを守り切り、勝利をたぐり寄せた。
　鶴島は「震災があったことでチームの団結も深まった。信じ合えている」と手応えを感じている。野原の「丹伊田ならやってくれると信じていた」との言葉が互いの信頼の厚さを物語った。ナインは「絆」という新たな武器を手に、目標の甲子園へまい進する。
（２０１１年７月１６日　福島民友・高校野球ニュース）