【小高工−いわき海星】延長１１回表小高工２死三塁、渡部が右前打を放ち、決勝点＝あいづ球場

　来春のセンバツ出場への第２関門となる第６３回秋季東北地区高校野球県大会第４日は１９日、会津若松市のあいづ球場、会津坂下町の鶴沼球場、いわき市のいわきグリーンスタジアムの３会場で２回戦８試合を行い、ベスト８が決まった。相双支部第１代表の小高工は延長１１回までもつれた乱打戦の末、１１―１０でいわき海星を振り切った。学法福島はエース谷地哉耶（２年）が７回１安打の好投に加え、そつのない攻撃で序盤から着実に得点を重ね、７―０で学法石川に７回コールド勝ちした。福島商は序盤の大量得点で試合を優位に進め、７―２で湯本に勝った。郡山商は１点を争う接戦で終盤に逆転、３―２で郡山を破った。前半戦を終了、後半戦となる第５日は２３日、あいづ球場と鶴沼球場で準々決勝４試合を行う。

　小高工、固い絆で流れ放さず
　「チーム全員で取った１点」。延長１１回、値千金の決勝打を放った小高工の渡部裕斗（２年）は勝利を決めた一打をこう表現した。
　乱打戦の試合展開の９回、５点リードから最後の粘りを見せるいわき海星打線につかまり追いつかれた。試合の流れは、いわき海星へ傾くかとみられたが、小高工ナインは落ち着いていた。「声を出そう」。ムードメーカーの捕手新開脩人（２年）を中心にナインはもう一度、試合を立て直した。ナインは２０人の部員全員が小高工で野球を続けるために相馬市の仮設校舎に通っている。震災から復旧した新地球場での練習では全員で野球ができる喜びから笑顔は絶えないという。固い絆でつかんだ価値ある１勝。ナインは勝利を積み重ね、センバツへの道を切り開く決意だ。
（２０１１年９月２０日　福島民友・高校野球ニュース）