静岡県は2日、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事による地質構造や水資源への影響を議論する専門部会を県庁で開いた。大井川の流量維持策として、JR東海が示した上流ダムの取水抑制案の詳細などを確認し了承。静岡工区の工事が膠着する発端となった水資源に関するJRとの議論が完了することになる。
ただ、県はJRと対話すべき課題として28項目を設定。同部会ではトンネル掘削などで生じた土砂の置き場に関する議論が続く他、生態系への影響をテーマとした部会も継続中で、完了は2026年以降になる見通しだ。
取水抑制案は、東京電力リニューアブルパワーが管理する田代ダム(静岡市)の取水を抑制し、工事で発生した湧水の県外流出分と同量を確保する取り組み。この日の会合で、JRは雨不足などによって川の水量が少なく、取水抑制できない状態が30日間続いた場合などには、県や専門部会に相談の上で対応を検討すると説明した。
この他、基準値を超える自然由来の重金属などを含む要対策土の処理方法についても議論した。