2018年に富山市で起きた交番襲撃事件で、奪われた拳銃で射殺された警備員中村信一さん=当時(68)=の妻が富山県警の初動対応に不備があったとして、県などに計約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、富山地裁は29日、原告の請求を棄却した。
原告側は、通報受理から中村さんが撃たれるまでの18分間で、警察が地域住民に避難を呼びかけることは十分できたと主張。これに対し県側は、通報の断片的な情報だけでは住民に危険が迫っていることは予見できなかった、として棄却を求めていた。
訴状によると、通報を受けた通信指令課や現場に到着した警察官は、通報内容から拳銃が奪われた可能性を認識したのに、住民に屋内避難を促すなどの被害拡大を防ぐ活動を怠ったとしている。
事件は18年6月26日に発生した。元自衛官島津慧大被告(29)が富山中央署奥田交番を襲撃し、勤務中だった警部補を殺害、奪った拳銃で近所の小学校の正門付近にいた中村さんを射殺したとされる。
21年6月、妻が県と被告を相手取り提訴。富山地裁は被告に賠償を命じた。