ホスピス型の有料老人ホーム「医心館東戸塚」(横浜市)で昨年10月~今年1月、入所女性=当時(56)=が多額の預金を引き出される被害に遭っていたことが29日、関係者への取材で分かった。医心館側によると、看護師が社内規定に反して不正に引き出し、総額約1千万円に上る。神奈川県警も把握し、窃盗容疑を視野に捜査している。
施設職員らが入所者の財産を使い込む「経済的虐待」は全国的に相次いでいる。
医心館を運営するアンビス(東京)によると、社内規定では、看護師が入所者の金銭を管理するのは原則禁止。この看護師は女性の入所手続きに関わったが日常的な担当ではなく、貴重品を管理する権限はなかった。社内調査に「女性から委託され無断ではない」と説明したといい、使途を把握できなかった。問題発覚後に退職している。
女性の親族によると、医心館側は引き出し額の弁償を打診。一方で、口外しないよう求められた上、謝罪もなく、親族は9月に看護師とアンビスに損害賠償を求め東京地裁に提訴した。その後、口外しないようにとの要求は取り下げられた。
