広島市で開かれた核兵器廃絶を目指す科学者らの国際組織「パグウォッシュ会議」第63回世界大会は5日、全ての核保有国に対話を拡大するよう求めた「広島宣言」を発表し閉幕した。広島、長崎への原爆投下から80年の世界は、核兵器使用を抑制してきた規範の崩壊に直面しているとして米国やロシアのさらなる関与が不可欠だとした。一方で核廃絶に向けた具体的な行動は示されず、課題を残した。
宣言は、いかなる状況下でも「核兵器は二度と使用されてはならない」とし、核戦争は国だけでなく人類の未来を破壊するとした。科学者に政治指導者を導く責任を求め、最新技術がもたらすリスクへの行動を促した。また日本国憲法第9条について、会議の基となるラッセル・アインシュタイン宣言が訴えた「戦争そのものの廃絶」につながると評価した。一方で、被爆者の現状への言及はなかった。
閉幕後の記者会見でフセイン・シャハリスタニ会長は「広島が世界に伝えるのは、ここで起きたことを繰り返してはならないという警鐘だ」と述べた。
