大倉社長コラム〈73〉WALK TO THE DREAM 監督交代
12/14 08:30
◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長
◆サッカー通じ人づくり
来季からの新たな監督として、J2松本山雅FCでコーチを務める村主(すぐり)博正氏を招聘(しょうへい)した。クラブとしては明確な基準を持って監督を選ばせてもらった。そのいくつかを紹介したい。
まずは年齢。40代にターゲットを絞った。40代はおおよそ、Jリーグができて約10年後に選手になった人。引退後に監督に必要なS級ライセンスを取得したが、監督経験はまだないという人が日本にはたくさんいる。
そこには新たに監督を目指す人にチャンスを与えたいという狙いがある。私たちはサッカーを通じた「人づくり」を目標に掲げているが、それは選手だけではない。日本はなかなか新しい監督が登場せず、同じ人たちがぐるぐる回っている節がある。いわきは監督を志す人にとっても挑戦、成長の場でありたい。
40代の層がトップチームのコーチと育成年代の指導の経験がある人が多いことも狙いの理由だ。いわきの選手は大学を卒業したばかりの若い選手が多い。だから若年層の育成経験は絶対に外せなかった。またトップチームで監督を支えていれば「もし自分が監督だったら」と考えることもあっただろう。こうした経験を存分に生かしてもらいたい。
こうした条件の中で、当然だがいわきのサッカーを理解して、それを進めてくれる人を探した。村主氏はいわきの試合をよく見て、チームビルディングの考え方や目指すサッカーを理解してくれている。また、とても実直な人柄で、サッカーに純粋に向き合い、選手の成長を願っている。彼が適任だと感じてオファーした。
今までの5年間は、田村雄三前監督と目指すサッカーのベースを作ってきた。ただ価値観は人それぞれ。村主氏が全く同じ解釈をするとは限らない。監督が替わることで、クラブに起こる化学反応に期待している。
おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。52歳。