【４】時計の針再び動き出す　アカテス・タムラダンススタジオ主宰・田村圭

　母澄代（７４）が買ってくれた大きなスーツケースを携えて、米ニューヨークへ飛んだ。当時はまだ２４歳。私の全てだったバレエをやめても、何か新しい道が見つかる気がしてきた。世界中から多様な人々と文化、芸術が集まる街。英語も分からないまま、とにかくニューヨークに行くことしか考えていなかった。 　語学学校の寮を借りて、ニューヨークでの生活を始めた。テレビや雑誌でしか見たことがなかった中心部のタイムズスク...