農業事業などを手がけるテクノスジャパン(福島県浪江町)は30日、浪江町末森地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で小麦を収穫した。2023年3月に復興拠点として末森、室原、津島の3地区で原発事故による避難指示が解除されてから、出荷用に穀物が収穫されたのは初めて。
同社は、東日本大震災と原発事故前に田んぼや畑として使われていた農地約5ヘクタールを活用し、小麦「ゆきちから」を栽培した。原発事故による長期避難により水路などが十分に整っていないことから、コメのように農地に水を張らなくても育てられる小麦を選んだという。昨年11月に種をまき、今年初めての収穫を迎えた。
収穫量は最大約10トンを見込み、小麦はJAに出荷される予定。収穫作業を行った浪江町議会議長で同社の山本幸一郎さんは「復興拠点の農業の再生に向けた第一歩として、小麦をまず収穫することができた。この土地で農業をする人が増えるように、営農再開の前進につながることを期待したい」と語った。