• X
  • facebook
  • line

食物連鎖でのヒラメ蓄積ほぼなし 原子力機構、トリチウム量推計

2025/10/18 17:19

 福島第1原発の処理水海洋放出を踏まえたヒラメのトリチウム量推計

 日本原子力研究開発機構などの研究チームは、東京電力福島第1原発から海洋放出されている処理水の放射性物質トリチウム(三重水素)が、食物連鎖によって福島県近海のヒラメに移行する量を独自のモデルで推計し、「蓄積の度合いは非常に低く、食べ続けても健康影響は無視できるほど小さい」とする研究結果を米学術誌に発表した。

 東電や環境省などはモニタリングを続けて海産物にトリチウムが蓄積していないことを確認しているが、実測できる数には限りがある。チームはトリチウムの海流による拡散、食物連鎖による移行という2種類のシミュレーションモデルを組み合わせて、処理水の影響の全体像を把握することを目指す。

 チームは東北地方の漁業にとって重要で、回遊せずにとどまる習性を持つヒラメに着目。まず、23年に処理水が放出された量や期間などを基に海水のトリチウム濃度を推計した。さらに食物連鎖で移行するトリチウムの量を推定。今回の研究ではタンパク質などに組み込まれて比較的長く体にとどまる有機結合型トリチウムについてヒラメ体内の濃度を推計した。

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line