東北大などの研究チームは19日、細胞内でエネルギーを作る小器官ミトコンドリアの機能が低下する指定難病「ミトコンドリア病」で、難聴がある患者15人を対象とした新規治療薬の医師主導治験を12月に始めると発表した。自治医大病院(栃木県)など4施設で行い、安全性や病気の進行を抑える効果を確かめる。
東北大の阿部高明教授は「ミトコンドリア病は進行が早く重篤な希少疾患。薬が開発できれば患者や家族にとって光明になる」と話した。チームによると、加齢に伴う難聴や騒音性難聴などにもミトコンドリア機能低下が関わっているという。
ミトコンドリアの機能が低下するとエネルギーが作られにくくなり、神経や筋肉など全身でさまざまな障害が起こる。チームはこれまでエネルギーを作る効率を高める化合物「MA―5」を開発。マウス実験で症状を改善できることを確認した。さらに健康な成人を対象とした治験で安全性を確かめていた。
今回の医師主導治験では、それぞれ量の異なる化合物や偽薬を飲んでもらい、治療効果を調べる。
