【子育て応援隊】楽になるヒント、4こま漫画で紹介

 
「子育て10のヒント」の製作に携わった(左から)児山さん、子育てサポートセンター次長の小野慎介さん、臨床心理士の山野辺彩花さん

 日々の子育てで、子どもの困った行動にイライラしたり、怒りすぎて自己嫌悪に陥ったり―。「どうして言うとおりにしてくれないの!」。そんな悩める親たちがもっと楽に子育てできるよう、子どもへの効果的な接し方を4こま漫画で紹介する冊子「親も子も楽になる! 子育て10のヒント」を、いわき市子育てサポートセンターが製作・発行しました。どんなヒントなのでしょうか。

 悩む親に向けて適切な対応紹介

 同センターは発達や発育の支援を必要とする未就学児を対象に、保護者の相談に応じたり、個別支援を行ったりしています。「10のヒント」は、センターのスキルを、一般向けにも紹介しようとつくられました。

 「10のヒント」には、同センターが実践している「ペアレント・トレーニング(ペアトレ)」の手法が盛り込まれています。

 ペアトレとは元々、発達障害の子どもの子育てに悩む親を支援するための、認知行動療法に基づいたプログラムです。発達障害の子どもを支援する行政機関や病院などで取り入れられ、基本姿勢は「子どもの困った行動を直すのではなく、大人が子どもへの適切な対応を身に付けることで子どもの好ましい行動を増やし、困った行動を減らす」というもの。これは発達障害の有無にかかわらず、どんな子どもにも効果的とされています。

 褒めることで力を引き出せる

 ペアトレでは、子どもを「褒める」ことが土台になります。「10のヒント」でも全項目で子どもを褒めて終わっています。「10のヒント」の製作に携わった同センター臨床心理士の児山尚子さんは「子どもは褒められることで『今の行動は正しかったのだ』と気付き、『またやってみよう!』と意欲が増します。それだけ大人による『褒める』は大きな力を持っています」と説明します。

 さらに、子どもの持つ力を引き出すために「大人による注目の力」を使います。この「注目」には、褒める、認めるといった「プラスの注目」と、どなる、ため息をつくなど「マイナスの注目」の2種類があり、どちらも子どもにとって大きな力を持っています。そのため、大人による「プラスの注目」が、子どもの好ましい行動を引き出すことにつながるのだそう。

 「子どもの困った行動に親がいらだち、怒られた子どもは余計に言うことを聞かず、親は自信をなくす―そんな悪循環を断ち切るのがペアトレです。断ち切るためのはさみは大人が持っています。『10のヒント』を通して、大人が子どもの力を引き出せることに気付いてもらい、子育てが少し楽になることを願っています」

 同センターは「10のヒント」を多くの人が知り、試し、シェアしてほしいとウェブサイトで公開しています。

 やることを明確にする

4こま漫画

 4こま漫画を見てみましょう。ご飯の時間なのに絵本を読んでいる子ども。お父さんは「なんでまだ絵本読んでいるの?いつもなんだから!!」と叱ります。子どもは絵本を読むのをやめません。「ちょっと!!何回言わせれば気が済むの」。「えっ! ぼく」と、子どもはようやく、自分が怒られていることに気が付きます。「そんなんじゃサンタさん来ないからね!!」。お父さんはさらに怒ります。「ぼくは何をすればよかったの?」。

 これは「10のヒント」で紹介している「NG例」。一方、「GOOD例」では、お父さんが子どもと顔を合わせてにこやかに「○○くん、絵本を片付けます。ここに絵本を入れます」と、子どもにやってほしいことを具体的に指示する様子が描かれています。

 各漫画にはアドバイスも添えられています。この項目には、子どもはあいまいな指示を理解することが難しいため、具体的に指示する必要性が紹介されています。

 好ましい行動に注目

4こま漫画

 「10のヒント」では、効果的な褒め方も紹介。ポイントは「伝わるように褒めること」。近づいて、シンプルに、具体的に。そして、全部できてから褒めるのではなく、子どもが指示に従おうとした時や途中までできた時など「好ましい行動」をはじめたらすぐに褒めることが大切だとしています。

 子どもの困った行動に大声でどなったり、説教すると「マイナスの注目」を与えることになり、困った行動が増えることも。好ましくない行動はスルー(無視)して、好ましい行動に注目することを勧めています。

 取り組む仲間がいると効果アップ

 「ペアトレは子育てを楽にする唯一の方法ではありません。ただ、その方法を知っていることで、自分の子育てを客観的にみることができ、一呼吸置いたり、冷静になれたりします。一緒に取り組む仲間がいると効果が増します」(臨床心理士・児山尚子さん)

 6月11日に郡山でイベント

 ペップキッズこおりやまで6月11日開かれる、「ふくしま子育て応援隊」の親子イベントに参加しませんか? 5月28日まで参加者を募集中です。同応援隊の活動を展開している福島民友新聞社と福島中央テレビの主催。

 「ふくしま子育て応援隊 ママ パパ キッズ 集まれ! みんなで遊ぼう、話そうフェス」と題し、音楽パフォーマー細川佳那枝さん(喜多方市)と一緒に音楽に合わせてダンスやリズム遊びをします。

 子育ての悩みなどについて、「ふくしま子育て応援隊ナビゲーター」で3歳児を子育て中の大橋聡子アナウンサーと参加者が意見を交わすコーナーも開催。アドバイザーは菊池医院(郡山市)の院長で小児科医の菊池信太郎さんです。県や県内13市の子育て情報を紹介するブースも設けるほか、家族写真を撮影してプレゼントします。

 参加無料。時間は午前9時30分(同9時から受け付け)~午前11時15分ごろ。対象は未就学児がいる親子(1家族4人程度まで)、定員は40組150人程度。定員を超えた場合は抽選。問い合わせは同応援隊サイトの問い合わせフォームから。