【子育て応援隊】身近なものからアート 県立美術館、色や形注目

 
学校などで子どもたちとアーティストが共同制作した作品が並ぶ「おとなりアーティスト2023」の会場=福島市・県立美術館

 県立美術館学芸員・白木ゆう美さん

 福島市の県立美術館は、子どもたちとアーティストが共同で作品を作るワークショップなど、子どもがアートに親しむための取り組みを行っています。現在は、県内の学校などで子どもとアーティストが共同制作した作品の展覧会「おとなりアーティスト2023」を開催中(25日まで)。そこで、同館学芸員の白木(しろき)ゆう美さんに、子どもとアートの関わりについて聞きました。

 互いを尊重する体験

 「子どもたちが芸術作品に触れたり、自分で作品を作ることは、多様な考えを認めたり、自分の考えを表現する力を伸ばすことにつながります」と白木さん。「作品を見た感想は人それぞれ違い、同じ道具を使っても、作りたいものは三者三様です。アートとの関わりは、生きていく上で大切な『自分はこう思うけど、他人はこう思う』という感覚を得るきっかけになると思います」と話します。

 では、子どもがアートに親しむために、親はどんなことができるのでしょうか。白木さんは「いろいろあります。未就学児の段階なら、最初から美術館に連れて行かなくても、身近な場面のアートを見つけることから始めてもいいのではないでしょうか」と提案します。「例えば絵本を読み聞かせる時に、話だけでなく絵の色や形に注目してもらうのもいいと思います」

 美術館に親子で行った場合でも「楽しみ方はさまざま。建物自体の形や大きさも、子どもにとっては新鮮な驚きを受ける部分だと思いますし、庭の芝生で伸び伸びと何か探してみるのもありです」。

 同年代に興味を持つ

 展示については、子どもの感覚に合った楽しみ方を提案してあげるといいそうです。「例えば展示品の中から動物や特定の色を探してみよう、などと呼びかけてみては。親が作品の感想を話しながら館内を回ると、より子どもの印象に残る時間になります。子どもは同じ年代の子どもに興味を持ちやすいです。現在開催中の展覧会『おとなりアーティスト2023』など、子どもたちの作品が並ぶ場に連れていくのもいいでしょう」。新年度には子どもたちがグループで館内を回って楽しめるような企画も予定しているそうなので、期待が高まります。

 「子育て中の親にとってもアートに触れる時間は息抜きになると思います。美術館は親子で来るには敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、ベビーカーの貸し出しやおむつ替えスペース、休憩室などもあり、もしもの時にも安心できる設備をそろえています。ぜひ子どもと一緒にアートを楽しんでもらえればと思います」