戦後80年という節目を迎えた2025年8月15日、スタジオジブリの名作アニメーション映画『火垂るの墓』(監督:高畑勲)が、日本テレビ系「金曜ロードショー」で7年ぶりに放送され、あらためて注目を集めている。東京・麻布台ヒルズ ギャラリーで開催中の「高畑勲展―日本のアニメーションを作った男。」では、本作の展示コーナーが特に広く設けられ、新たな資料も公開されている。
【画像】庵野秀明が描いた『火垂るの墓』幻のレイアウト「重巡洋艦摩耶」
1988年に公開された『火垂るの墓』は、野坂昭如の同名小説が原作。太平洋戦争末期、空襲で母を亡くした14歳の清太と4歳の妹・節子が、叔母の家を出て二人だけで生き抜こうとする物語。
展示で特に目を引くのは、草むらの蛍の光に包まれて笑う節子と、それを見守る清太が描かれた、近藤喜文と山本二三によるポスター用イラストのディスプレイ。清太と節子の頭上には米軍のB29爆撃機がシルエットで描かれ、蛍の乱舞のように見える光の中に、爆弾が混じっているように見える。
原作にも「蛍の光を敵の曳光弾になぞらえ」(著:野坂昭如/新潮社)と記されており、空襲の曳光弾と蛍の儚い光を重ねて「火垂る」を表していたことにあらためて気づかされる。
さらに会場には、高畑監督が原作を切り貼りして脚本検討用に再構成したノートや、そのコピーにマーカーを引いたもの、無数の書き込みが施された創作ノートなど、2018年の逝去後に発見された貴重な資料も展示。本作の脚本を自ら手がけた高畑監督が、自身の空襲体験を踏まえながら、原作を忠実に映像化しようとしていたことが伝わってくる。
本作の企画書(1987年4月付)にはこう記されている。
「主人公・清太に自閉的で対人関係が苦手な現代の子どもたちを重ね、その姿を援助できない大人たちに地域共同体の崩壊や不干渉の世情を重ね見ることで、『火垂るの墓』は強烈な光を放ち、現代を照らし出して私たちをおびえさせる。戦後四十年を通じて、これほど清太の生き方と死にざまを身近に感じ、共感できる時代はない」
戦後80年、そして『火垂るの墓』公開から40年を迎えようとする今も、そのメッセージは鋭く心に突き刺さる。
また、展覧会準備中に、庵野秀明(スタジオカラー代表)が手がけた「重巡洋艦摩耶(まや)」のレイアウトや、樋口法子によるハーモニーセル(絵画のように緻密に描かれたセル画)が偶然発見され、本展で初公開されている。軍艦の細部まで描き込まれた資料も見応えがある。
映画『火垂るの墓』はNetflixでも配信中。作品そのものと、制作過程を伝える資料をあわせて体感できる、またとない機会となっている。
『火垂るの墓』7年ぶり地上波放送&Netflix配信で再注目 高畑勲展では初公開資料も展示中
2025/08/16 17:31
- 映画
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