ハリマ化成グループ
ハリマ化成グループ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:長谷川吉弘、以下、当社)は、耐水・耐油性、耐熱性、防湿性といった機能を持ち合わせた、環境性に優れる紙素材用水系バリアコート剤を開発しました。
近年、環境意識の高まりから、包装材料分野においてプラスチックをバイオマス素材に置き換える動きが進んでいます。バイオマス素材の中でも、木材を原料とする「紙」は、樹木が成長過程で二酸化炭素を吸収し、植林により繰り返し使用できるという点から、カーボンニュートラルに貢献する素材として注目されています。しかし、紙は水や油を浸透することから、紙コップや食品の包装箱など、紙を使った食品包装容器のほとんどは、プラスチックフィルムでラミネートされています。ラミネート紙は一般的な紙のリサイクル工程では処理できず、石油由来品のため、サステナビリティへの課題も残ります。
バリアコート剤は、紙に塗工することで、バリア性を付加して性能を向上させるとともに、ラミネート処理が不要なため、包装材料のリサイクル性を高めます。また、脱プラスチックの動きや包装材料が約7割を占めるプラスチックゴミ問題への対策としても有効であり環境意識の高い欧州や北米を中心にラミネートの代替として採用が広がっています。
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当社製品を使用した食品包装紙例
当社開発品は、松から得られるロジンをベースとしたバイオマス由来成分を最大で約85%含むため、環境性と高い性能を両立させ、紙製品の利用範囲を拡大させます。また、水系素材で、溶剤を使用しないことから、製造時の作業環境や人体への負担を低減します。さらに、食品包装材への適用に向けてより高い安全性が求められる「間接食品添加物」としては、米国FDA、ドイツBfR、スイス条例*1、EUプラスチック規則*2、 国内のPL制度*3など、各国の法規制に対応し、サステナブルな紙包装材の普及を後押しします。
プラスチック製フィルムの代替となる紙製品の市場は、食品包装や容器を中心に脱プラスチックのニーズを受けて拡大しており、国内だけでも2027年に35億円(2023年比75.0%増)に達すると予測されています。新しく開発した水系バリアコート剤は、このような市場の変化に対応します。当社は、生活に役立つ素材を世の中に届けることで、人々のくらしを豊かにするとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
参考情報
*1 スイス条例(Swiss Ordinance §817.023.21)
非EU加盟国としてスイス連邦が独自に定める、食品包装用インキにフォーカスした世界初の法規制。
包装材料からの化学物質溶出量を規制しており、厳しい基準を設定しているため、実質的な世界基準
として広く参照されています。
*2 EUプラスチック規則(EU No.10/2011)
EU内で販売される食品と接触するプラスチック材料の安全性要件を定める規則です。この規則により、
食品への化学物質の移行を制限し、消費者の健康保護と市場での規制の調和を目指しています。
*3 PL制度(食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度)
食品に接触する器具・容器包装(特に合成樹脂製)に使用できる物質を、国が安全性評価の上でリスト化し、それ以外の物質の使用を原則禁止する制度。