(6)始まりは6月9日 いくつも偶然重なって

 
2020年12月、初めて竹藤へ行ったときの写真。竹藤のイラストを描いたのはこれより前で、写真を見ながら描きました。やっと訪ねられて思わずピースサイン!

 Bonjour、エミリーです!

 先月、会津で初めてテレビ番組の撮影を経験しました。全国で放送されたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。カメラの前で質問に答えるのはちょっと難しかったですが、スタッフの皆さんが私の背中を優しくさすってリラックスさせてくれました。とても良い経験でした。

 出演した番組が放送された日は6月9日。この日からちょうど2年前の6月9日に、私についての記事が福島民友新聞に「赤べこに恋した仏女性」の見出しで掲載されました。すごい偶然にびっくりです。

 私の赤べこグッズについての県観光物産交流協会のツイートが、記事掲載のきっかけとのこと。この記事が掲載された2年前の6月9日から、私を福島へ引っ張る糸が動き始めました。記事をネットで見た東京や鎌倉に住んでいる会津出身の方とつながりができ、会津若松市にある竹製品の店「竹藤」を紹介され、竹藤と赤べこの初コラボイラストを描くことになりました。

 竹藤のイラストについての記事が10月に新聞やネットに載り、東京の女性から、私のネットショップにグッズの注文がありました。偶然は続きます。注文が入った次の日に、この方の近隣で開かれるマルシェに出店する予定があったのです。私は「マルシェに来ませんか?」と彼女に連絡し、とても楽しい出会いが生まれました。

 その1カ月後、彼女が、東京にある「ふるさと回帰支援センター」のはがきをくれ、行ってみるよう後押ししてくれました。センターではスタッフが優しく話を聞いてくれて、会津若松市の移住コーディネーターを紹介されました。

 すると、またまた偶然、ちょうど翌月に福島を旅行する予定があったのです。会津で移住コーディネーターに会い、「体験生活」の話を聞いて、申請締め切りに間に合うよう急いで申し込み昨年2月から体験移住を始めることができました。

 体験は3カ月の予定でしたが、1年に延長することに。いろいろなつながりができてイラストの仕事が増え、福島がテーマの作品をたくさん描きました。福島の好きなことを集めて描いた紹介マップに取り上げた「双葉ダルマ」を見ようと、浜通りにも行きました。そして双葉のイラストを描いた後、昔からやりたいと思っていた農業のアイデアが生まれました。

 6月9日から始まった偶然? 運命? どちらか分かりませんが、この2年は「偶然が重なってうまくいった」と感じています。県観光物産交流協会の方がツイートをしなかったら、皆さんとつながらなかったら、移住コーディネーターに会わなかったら。一つでも欠けていたら、今、私はいわき市にいなかったでしょう。さあ、これから、このつながりの糸はどうなっていくのでしょうか。

福島パスポートふるさと回帰支援センターへ行った後、この「No.77」福島パスポートをもらいました。数字を見たスタッフに「ラッキーナンバーですね」と言われました

春の浜通りの写真初めて浜通りへ行ったのは春。暖かく感じたのは、天気のせいだけではなかったようです

 エミリー イラストレーター。東京などで語学講師として活動し、2021年2月から県内に移住。趣味は散歩。猫好き。自身のサイト「メリエマリス」で、赤べこのイラストや県内スポットの紹介文とイラストマップなどを公開。オリジナルグッズも多数展開中。