(8)農業をやりたい! 植物のリズムを大切に

 
去年、会津で「畑友達」と一緒に畑の手入れや収穫、料理をしました。イラストの仕事で目が疲れるので、畑へ行くと目が楽になります。寒くなると畑で震えた後にこたつでイラストを描きます! 農業&イラストは、私にとってベストです!

 Bonjour、エミリーです! みなさん、覚えていますか? 数カ月前のコラムで「農業をやりたい!」と書いたことを。実は植物と私には長い間、ラブストーリーがあるんです。

 小さいころ、キッチンに置いてある豆をこっそりとって、育てていました。7歳の夏休みには、顔を出したばかりのカボチャの双葉を、木苺(きいちご)のお菓子の箱に入れて家族旅行に持って行きました。旅行中に家に置いておいたら「水が足りなくて死んでしまう」と思い、苗を守ろうとしたんです。これはいまでも家族の笑い話。ふふふ。実は、今でも同じことをしています。

 農業高校に入りたかった私ですが、「大変な仕事だよ」と言われ、普通高校に進学しました。卒業後には1年間コースのアート学校へ。その間も植物から気持ちが離れることはなく、常に何かを育てていました。日本に来ても、サボテンや野菜、ハーブなどが私の周りにいつもあります。

 植物を育てるために薬や肥料を使ったことはありません。強くても、弱くても、自分のペースで大きくなれば、それでいいと思います。

 ここまで書いて、小学1年の私を思い出しました。行動が遅くていつも休み時間はクラスに居残り。「もっと早く!」とせかされても、早くできなくて。今では結構早くなりましたが、「飛び立つ」までに時間がかかりました。

 植物も同じ、というのが私の思い。それぞれの植物が自分のリズムで「飛べる」農業をやりたいんです。

 何年か前にエコロジックな農業「パーマカルチャー」のことを耳にしました。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、パーマカルチャーは自然と一緒に、生物多様性を守りながら行う農業。「必要ない物や虫はいない」「全ては意味がある」「多様性も観察も大切」「問題点を把握し、解決」などの考え方で進めます。

 去年初めて双葉郡へ行った時に、「ここで、パーマカルチャーでオーガニックな木苺を作りたい!」と、農業のアイデアが生まれました。眠っていた「農業をやりたい」という気持ちが目覚めたみたい!

 なぜ木苺? それは、子どものころから大好きな果物で、いつも食べていたのに日本では少ないからです。

 これまで1年間、実現に向けて計画作りを頑張りました。フランス語や英語でいろいろ調べて、日本語に翻訳して、プレゼンテーションをして、プランを直して、たくさんの人に見てもらいました。何も動かない時もあったり、急に空が晴れるようにいい感触の時もあったり。今のところは農地を探し中です。

 あせらず一歩一歩。農業ストーリーは続く!

木苺今も木苺を育てています。甘くて、ちょっと酸っぱくて、たくさん食べても飽きません

藤の木種から育てている藤(ふじ)の木です。土に植えて大きく育てたいです

 エミリー イラストレーター。東京などで語学講師として活動し、2021年2月から県内に移住。趣味は散歩。猫好き。自身のサイト「メリエマリス」で、赤べこのイラストや県内スポットの紹介文とイラストマップなどを公開。オリジナルグッズも多数展開中。