(28)植物の引っ越し、この場所でまた咲いて 

 
会津から来たビワです。かかしみたいな形になって、風の時は手を振っているように見えます

 こんにちは! エミリーです。

 フランスでは入学は9月ですが、日本は4月です。季節と一緒に生きている日本にとって、春は1年の始まりを感じる時ですね。

 大熊町の農園は、梅とアンズから開花がスタートしました。今年の春は、特別な感じがします。

 去年農業を始めた時、用意した苗はもう葉や花が付いていて、そのまま植えました。ですが、今年は毎日、つぼみの目覚めを見ることができました。暑い夏や雪の冬を越えて、「今年も I am ready!(準備完了)」と言いながら、新しい葉や花を付けているようでした。

 蜂(はち)、蝶(ちょう)、蜘蛛(くも)などもよく見かけます(虫を表す漢字はとっても面白いですね)。カエルの声も聞こえて、水がたまっているところには大盛りの卵があります。

 眠っていた農園が、一気に動いているみたいです。あるツツジの花はもうすぐ咲きそうです。

 このツツジは他の場所から移ってきたものです。大熊町の家と蔵を処分する予定の方が、「好きな植木を取って」と、私の仲間に言ってくれました。そこで、私は仲間と一緒にショベルカーでたくさんの苗を掘り、トラックで農園まで運びました。約20本のツツジ、20本のアジサイ、15本のムクゲ、8本の梅が農園に引っ越してきました。今年の秋は、あと3本の梅が来る予定です。

 大変な仕事だったので、SNS(インスタグラム)でアップする時間があまりなかったです。すみません!

 震災前にあった20~50年ものの梅も、震災後にハウスの中で生まれた梅も、移動させるのは不安がありました。梅は強い木だから、と言われても、枝を切って傷つけたので、うまく育つかな? と毎日見守っていたら、新しい芽が出てきて、ほっとしました。

240418emily703.jpg※写真=引っ越してきた梅です。風が強いので最初にパイプなどをつけましたが、自分でバランスを取るためにもそろそろ外してもいいかもしれません

 木々を処分するより、農園でまた咲いてくれるのはなによりうれしいです。植木の元のオーナーさんご夫婦が畑を見に来てくれて、大事に育てていた植木をあちこちで見つけてうれしそうでした。

 大熊町のほかの方からは、ミモザやツバキ、ローズマリーなどをいただきました。

 会津からも苗をいただきました。この苗を育てた方が亡くなったという悲しいニュースが届き、とても残念です。ブルーベリーやキウイなどを育てていた方で、奥さんからいくつかの苗をいただきました。この奥さんと私の友達が、会津から大きなビワの木やキウイ、サルナシとベリーの引っ越し作業をしてくれました。農園に一緒に植えて、笑っている様子を、空からご主人が見守ってるように感じました。

 ラズベリーから始まった農園に、いろいろな方の思いがある場所ができ、良かったと思います。

 では、また来月!

240418emily701.jpg※写真=麦は大きくなりました!よく「麦でフランスパンを作るの?」と言われるけど、どうするのかはまだ決まっていません~

 エミリー イラストレーター。東京などで語学講師として活動し、2021年2月から県内に移住。趣味は散歩。猫好き。自身のサイト「メリエマリス」で、赤べこのイラストや県内スポットの紹介文とイラストマップなどを公開。オリジナルグッズも多数展開中。