【花火大会】職人が込めた思いを堪能

 
今年はどんな色合いや仕掛けの花火が見られるか楽しみだ

 夏の夜の風物詩、花火大会。今年は3年ぶりに開催される大会も増えてきた。とはいえ、規模を縮小して開催する大会も目立つ。そんなコロナ下での「新しい花火鑑賞様式」を深掘りした。

 浴衣を着こなす

 まずは服装から気分を盛り上げたい。民族衣裳文化普及協会東北委員長の尾形容子さんに浴衣の着方やマナーについて聞いた。

 最近の浴衣は、夏の日差しに映える大きくて鮮やかな柄や色が人気だという。また、洗濯機で洗えるものが多く、手入れも楽だ。「浴衣は、思っているより涼しいですよ」と尾形さん。

 浴衣で気になるのは着崩れ。対策は腰ひもをしっかり結ぶことがポイントだ。着付けの際、体形を補正するため腰回りにタオルを巻くが、タオルを巻くと腰ひもをしっかり結んでも苦しくないという。

 また、暑い日は首の後ろを少し開ける(抜く)と、風通しが良くなる。ただし、開け過ぎるとだらしない印象になってしまうので気を付けて。

 「浴衣は基本的に自由に着こなしていいけれど、これだけは必ず守って」と尾形さんが強調するのは「襟合わせ」だ。女性は左身頃が上で、洋服と逆になる。「右手がすっと心臓に入る向き、と覚えて。お祭りなどで合わせが逆の人を見かけると直してあげたくなっちゃう」と尾形さん。

 同協会では着付け教室も開いており、自分で着られるようになれば、夏の外出がより楽しくなりそうだ。

 新たな仕掛けも

 さて、服装が決まったら、次は花火鑑賞の実践。花火鑑賞士の資格を持ち、知識を生かしたオリジナルの花火鑑賞ツアーも企画している東南観光社(伊達市)社長の浅野剛生(たけお)さんに、今年ならではのポイントを聞いた。

 浅野さんによると、花火師の間では、この2年間大会がほとんど開催できなかった分、新しい色や仕掛けを開発する時間に充てられたと、前向きに捉えているという。今年の大会は、研究の成果を披露する場所でもあるので、見たことのない花火が上がるかもしれない。

 今年は多くの会場で飲酒の禁止や、屋台の制限などがある。そのため「従来のレジャー(夏祭り)的な要素が薄まり、お客さんが花火を純粋に楽しむ環境になるだろう」と推測する。

 打ち上げ花火は、開いてぱっと消える「牡丹(ぼたん)系」と、尾を引くように余韻を残して消えていく「菊系」に分けられる。また、近年では「時差式」と呼ばれる、ネオンのように色が変化したり点滅したりする仕掛けがトレンドだ。さらに細かい種類や仕掛けなどについて、あらかじめネットなどで勉強しておくと、よりマニアックに楽しめそうだ。

 また、多くの花火大会にはテーマがあるので、事前に調べておくと、次々に上がる花火に込められたストーリー性も鑑賞できる。今年は打ち上げ時間を短縮する大会が多いが、浅野さんは「短い時間に花火師の思いを感じ取って」と話している。ウィズコロナの花火大会は、一瞬も目が離せない、思い出の一夜になりそうだ。(佐藤香)