【放課後に楽しんだグルメ】女子高生「あんこ」に夢中

 
会津若松市・七日町通りの「太郎焼総本舗」のきんつば(小倉)。学生たちの「放課後グルメ」として昔からの形をとどめる貴重な一品といえるかもしれない

 世間話で盛り上がる話題の一つに、学生時代の放課後の思い出がある。今回は「放課後の楽しい時間」について。

 まずはお手紙から。福島市のんめがったよ~ん!!さん(60)は「電車通学で帰りの電車を待つ間、駅前のビルにあったBON・BONによく行きました。毎日のように注文していたのがハンバーガーセット。中にパイナップルが挟まっていてとても美味でした」。BON・BONは喫茶店だろうか、今は見当たらないそうだ。

 確かに若い頃はよく食べた。以下リスナーから。「高校時代、バイトの時間まで友達と近くの神社でおしゃべりした後、お小遣いがあるときはソフトクリームを食べたり、パンとかよく買い食いしていました」(三春町・ちょちょいのちょいさん)。

 おやつと部活動がセットの投稿も多い。福島市のももプーちゃんさんは「高校時代は演劇部で放課後は発声練習。部活前には近所の商店でパンを買い」部活前に腹ごしらえ。帰宅後は夕食を食べ「1日5~6食も食べてました」。よろず屋オカンさん(昭和村)は「放課後は部活。土日は部活後『トミーフードのミートソース焼きそば』が楽しみ。もちろん夕食も食べていました。いくら食べても太らなかったあの頃が懐かしい」。トミーフードは会津若松市にあった店。

 この会津若松で高校生活を送った女性たちからは濃い話も聞いた。例えば、たい焼き。十数年前は空前のたい焼きブームで、高校の前など街の各所に人気のたい焼き屋があり、神明通りが激戦区だったという。一方で七日町通りの太郎焼総本舗の太郎焼(きんつば)も、観光客とともに女子学生に人気。とにかく当時は「あんこブーム」だったと30代のTさんとWさん。

 聖地の神明通り

 また、周辺に高校が多い神明通りは、甘味を含む「放課後グルメ」の楽園だったようだ。Tさんは「おばあちゃんがやっていた『とらや』では、たい焼きと焼きそばまん、たこ焼きなどが売られていて、店に置いてあったマヨネーズを焼きそばまんに突っ込んで食べてました」。

 この聖地を訪ね会津若松に出かけた。しかし、とらやは見当たらない。情報を得ようと七日町観光案内所を訪ねると、小畑匠代表(40)も職員の荒川博美さんも「?」。ただ放課後の思い出となると話は尽きない。

 若松商高OBの小畑代表は「部活(サッカー)帰りに学校前の『ばんちゃ店』でジュースやカップ麺。半ドンだった土曜はカレー屋のアントン。学生が集まる、その店の唐揚げカレーは今までで一番うまい」と目を細める。荒川さんは「よく行ったのは神明通りのファストフード店。土曜は、ランチがしゃれていたランチボックス(喫茶店)に女子高生が集まってた。楽しいことしかなかったなぁ」。

 ただ、アントンもランチボックスも今はない。話に出た中で唯一存在したのは太郎焼総本舗だった。店主の金田宏治さん(67)に聞くと、とらやは閉店し店主も亡くなったと言い「うちの店も49年前に神明通りで創業したが、18年前七日町へ移った」と世の変転を語りながら「でも今も学生は多いよ」とほほ笑んだ。街は変われど変わらないこともあるのだ。(鈴木博幸)