【「○○焼き」といえば?】今川、大判... 各地の呼び名で愛され

 

 丸くて温かい、たい焼きに似たおやつといえば「○○焼き」。皆さんは何と呼んでいますか?

 読者やリスナーに尋ねたところ、大半を占めたのが「今川焼き」と「大判焼き」だ。中でも今川焼きは「江戸時代に江戸神田今川橋付近の店で売り出したという」(大辞林)とあるように、東京発祥といわれている。投稿でも「東京生まれの私にとって、大判焼きより今川焼きの方が、なじみがあります」(びおさん)など、東京にゆかりのある人は「今川派」が多かった。

 次に多かったのが「回転焼き」。前述の二つはこの形状のお菓子の総称として使われるのに対して、「郡山市の中野屋」(メひかりさん、berry98さん)、「川俣町のかいてんや」(斎藤恵二さん)など、店名を上げる人が多かった。また「朝ドラで見てからは『回転焼き』と呼んでいます」(会津坂下町・おかげさまでフリーダムさん)など、主人公が京都で回転焼きの店を営むエピソードが印象的だったNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(2021~22年)の影響を受けた人も。

 また、特定の商品名を挙げる人も多く、目立ったのは「あじまん」だ。あじまんは山形県天童市の企業名であり商品名でもある。副社長の堀越一道さんによると、現在、全国に約300店を展開し、県内にも11店を構える。いずれもスーパーやホームセンターに出店し、冬期間のみ営業している。「郡山に住んでいますが、鏡石町のイオンまで買いに行きます!」(郡山市・虫歯さん)という熱いファンも。多くの店が3月末で今季の営業を終了し、秋に再開する。食べたい人は急いで!

230323kokohore!701-1.jpg※写真=県内にも店舗がある山形県の「あじまん」

 次に、大阪府出身の北村茉倫アナ(欄外参照)をはじめ、関西ゆかりの人たちから支持を得たのが「御座候(ござそうろう)」だ。こちらは兵庫県姫路市に本社を構える企業名であり商品名。店舗運営部の小倉右士さんによると、同社は1950(昭和25)年に回転焼き業を始め、以来、手仕事のぬくもりを大切にし、全ての店舗で客の目の前で焼く実演販売を行っている。名前には「お買い上げ賜りありがたく御座候」という感謝と、「私が焼いた回転焼で御座います」という商品への自信と誇りが込められているという。

230323kokohore!701-2.jpg※写真=関西をはじめ首都圏のデパートなどにも店舗を展開している兵庫県の「御座候」

 さらに、愛媛県出身の矢野真未アナ(ふくしまFM)からは「ひぎりやき」という名前が。これは松山市の沢井本舗で作られている商品の名称だ。社長の沢井善一郎さんに聞くと、ひぎりやきは大正初期、同市にある善勝寺の境内で誕生したという。寺に安置されている「日切地蔵尊」から「ひぎりやき」と名付け、以来100年以上親しまれている。

 さらに、沢井さんが「大判焼きのルーツも松山市なんですよ」と教えてくれた。大判焼きは、昭和30年代に製菓の業務用機器や材料卸を手がける同市の企業が、器具一式と材料をセットで販売した。これがヒットして、中国・四国地方から全国に大判焼きが広まったそうだ。

230323kokohore!701-3.jpg※写真=松山市で100年以上親しまれている「ひぎりやき」

 最後に、「小さい時から『きんつば』と言っていました」(喜多方市・須藤まち子さん)という驚きの投稿が、同市をはじめ会津地方から多数寄せられた。「きんつば」といえば、小豆あんを白く薄い皮で包んだ四角い和菓子ではないのか...? この謎は次回に持ち越します!(佐藤香)