【ご当地アイス・下】老舗の手作り、素朴な味 昭和の懐かしさ

 
(写真上)野村屋のアイスキャンデー。ミルクは140円、アズキは160円。それ以外は110円 (写真下)小野町のご当地グルメとして人気の「おのまち小町アイスバーガー」

 3回にわたって特集した「ご当地アイス」。最後は、その地域ならではの「ローカルアイス」を紹介する。

 持ち手は割り箸、アイスキャンディー

 まずは県南で人気のアイスキャンディーから。

 「白河市の野村屋さんというお店に、昔懐かしい手作りのアイスキャンディーがあります! 持つ部分は割り箸で、アイスはシャリシャリとした食感です。お薦めはミルク味とアズキ味です! 飽きのこないシンプルな味が癖になりますよ」(西郷人(にしごうじん)さん)、「『野村屋のアイスキャンデー』は、昭和の香り漂う割り箸を挿した氷菓。あんから手作りのアズキ味を筆頭に、イチゴやミルクなど。昭和の店構えと、人工甘味料を使っていない素朴な味」(白河市・のび太さん)。

 白河市に店を構える野村屋は1937年ごろの創業という老舗だ。店主の長谷川ヒロさん(89)によると、アイスキャンディーは戦時中に誕生したという。ヒロさんの父正吉さんが東京の喫茶店で食べたアイスクリームの味が忘れられず、白河でも冷たい菓子を作りたいと、アイスキャンディーを考案した。

 現在、商品は11種類(アズキ、ミルク、チョコレート、イチゴ、メロン、ブルーハワイ、オレンジ、ピーチ、グレープ、抹茶、黒糖)。投稿者のお薦めにもあった通り、人気は発売当時からあるアズキとミルクだそうだ。年中販売しているが、夏は1日に800本ほど売れることもあるという。

 「ご当地アイス・上」で紹介した松永牛乳でも、50年にアイスキャンディーなどの製造を開始したという証言があった。アイスキャンディーは戦時中から戦後にかけて各地に普及したようだ。

 バンズに挟んで...ハンバーガー風

 そして最後のアイスは、こちらの投稿から。「私の住む小野町には『小町アイスバーガー』という、焼いたバンズにアイスクリームを挟んだハンバーガー風のアイスがあります! 町内のお店で食べられます」(ゆずももさん)

 何とも気になるこのアイス、名前は「おのまち小町アイスバーガー」といい、焼いたバンズ(パン)に冷たいアイスを挟んだデザートで、小野町で長年親しまれている。

 最初のアイスバーガーは、町内のスーパー「ススムストア」(現在は閉店)で83年ごろから販売されたという。少し温めたハンバーガー用のバンズにアイスを挟んだもので、地元の子どもたちに人気だったそうだ。

 現在のアイスバーガーは町産のブルーベリーやチョコレートなどをトッピングしたもので、町の名物を発信しようと町商工会青年部が試作を重ね、2013年に開発した。町内の3店舗(シェフリー松月堂、丸忠ストア、レストラン志木)で販売しているほか、イベントなどでも購入できる。

 3回にわたって紹介した「ご当地アイス」だが、ほかにもハニービー(福島市)、道の駅あいづ湯川会津坂下の12か月のジェラート(湯川村)、太郎庵(会津坂下町)、道の駅ひらたのハバネロソフトクリーム(平田村)、至福の桃ソルベ(桑折町)、Gela319(国見町)、きよミルク(二本松市)、ジェラテリア・マッテオ(三春町)、あぶくま洞のラベンダーソフトクリーム(田村市)、佐々木牧場のソフトクリーム(福島市)、茶楽(さらく)の抹茶ソフトクリーム(福島市)など、たくさんのお薦めアイスが寄せられた。

 バラエティーに富んだご当地アイスを求めて、観光と食べ比べを楽しみたい。(坂本龍之、小山璃子、佐藤香)