【家計簿の活用】つけ方...自分好みで長続き、思い描く未来への一歩

 
書店に並ぶさまざまな種類の家計簿。年末年始を中心に家計簿売り場を広く展開するが、それ以降も、日付を自由に書き込めるタイプの商品を通年販売しているという=福島市の岩瀬書店ヨークベニマル福島西店

 家庭のお金の動きを記録する家計簿、皆さんはつけていますか? 市販の家計簿やノートに記入する手書き派、スマートフォンのアプリやパソコンソフトに入力するデジタル派、双方からさまざまな活用法が寄せられた。

 家計簿をつけ始めておよそ25年という、会津若松市の井上さんは「いろいろな方法を試しましたが、5年前に納得のいく家計簿にたどり着きました。それはA4サイズのノートです。手書きにこだわり、これからも続けていきます」。ほかにも「昭和47、48(1972、73)年度から続いています」(浪江町・シルクさん)、「家計簿をつけて40年ぐらいになります」(二本松市・安斎さん)、「45年前に結婚した年から、日記併用家計簿をつけています」(福島市・高野さん)など、長く書き続けている読者も多い。

 不正請求防ぐ

 思わぬトラブルからつけ始めた人も。「家計簿をつけてますよ。ネットで注文することが多いのですが、以前、不正請求に遭って100万円を超えたことがあったので...」と明かすのは、伊達市の毎日宅配さん。クレジットカードの明細も郵送からウェブが主流になり、気付くと何カ月も明細を見ていなかった、なんてことも。もしもの被害に早く気付くためにも、まめにチェックしておきたい。

 現状把握し分析

 せっかく家計簿をつけるのなら、できれば貯蓄につなげたい。CFP(R)認定者(ファイナンシャルプランナー)で社会保険労務士の宍戸ゆかりさん(福島市)に、効果的な書き方や活用法を聞いた。

 「家計の現状を把握することが家計簿の最大の目的です。金額は1円単位まで正確に合わせなくて大丈夫。大切なのは続けることです」と宍戸さん。家計簿によって費目の分け方など書式に違いがあり、どれを選べばいいか迷うが、自分なりのルールを作って、つけやすい方法で書くことも長続きの秘策だという。

 最近はQRコード決済や電子マネーなどさまざまな決済方法があるので、手元の現金だけで残額を把握するのは難しい。クレジットカード決済など全てを書き出す(入力する)ことで、思いがけない出費や使途不明金に気付くことができる。

 日々の収支を記載して現状を把握したら「結果を分析、検証し、改善につなげましょう」と宍戸さん。こう書くと難しそうだが「今月は外食が多かった」「必要以上に日用品を買い過ぎた」など、まずは家計簿を見返してみよう。

 毎日の記載に慣れてきたら、1年間の大きな支出(保険料、車検、旅行など)をあらかじめ書き出してみよう。これをもっと長いスパンで捉えると、子どもの進学、家の新築、車の購入など大きな出費を伴う「ライフイベント」の予算立てにつながる。前もって分かっていれば、貯蓄の計画も立てやすく、急な出費にも慌てずに済む。

 家計簿をつけ始めて47年になるという喜多方市のまっちゃんさんから「1月に昨年の集計をして1年の予算を立てられるので、家の改築時のローン返済は大変役に立ち、繰り上げ返済できました」という投稿が。ここまでできたら家計管理の上級者だ。

 つける理由や効果が実感できれば、習慣化し、長く続けられそうだ。宍戸さんも「家計簿は思い描く未来に近づくための第一歩です」と背中を押す。

 「FPに相談」というと、ハードルが高いイメージもあるが、宍戸さんも所属する日本FP協会では、身近な家計の相談も歓迎しているという。気になる人は同協会のサイトをのぞいてみては。(佐藤香)