【漬物あれこれ】免疫力アップ、心和む愛情の一品

 
三五八漬け(手前)、みそ漬け(中列右)など橋本ヨシイさんお手製の漬物

 ご飯のお供にはもちろん、お茶請けとしても人気の漬物。今回は漬物にまつわるエピソードや情報を募集した。

 まずは、家族が作ってくれた漬物の思い出から。

 「今は亡き祖父母が漬けてくれた白菜や梅干し、大根の漬物の味が恋しいです」(福島市・にゃんこさん)。「漬物といえば、義母の作った天日干しのしょっぱい梅干しです。手間暇がかかった梅干しは、どんな高級な梅干しよりもご飯に合います」(郡山市・ヤムヤムさん)。「祖母の作る梅の砂糖漬けが子どもの頃から大好きでした」(二本松市・Ruさん)

 道の駅、直売所で手軽に購入

 手作りの漬物が手軽に買えるのが、道の駅や直売所だ。道の駅国見あつかしの郷(国見町)の総支配人鈴木亮一さんに話を聞いた。

 店内の冷蔵ケースには、近隣の市町村で作られた、たくあんやキュウリの漬物などが並ぶ。

 実は今、手作り漬物の販売が岐路に立たされている。2021年に食品衛生法が改正され、漬物の製造業が届け出制から許可制となり、排水環境の整備など新たな設備基準が設けられた。そのため、自宅で製造した商品を卸していた事業者などは、設備の改修が必要になる場合があるという。今年5月末で経過措置が終了し、以降は許可がないと販売できなくなる。

 状況を鈴木さんに聞くと、現在漬物を卸している事業者の多くが、すでに許可を取得したという。だが一部の事業者からは、今回の改正で出荷ができなくなるかもしれないという声も聞こえてくるという。

240328kokohore7011.jpg写真=道の駅国見あつかしの郷にて、人気の漬物を手にする総支配人の鈴木さん

 一方「漬物自作派」からは、作ってみたい簡単レシピが寄せられた。

 「ビール、塩、砂糖、タカノツメなどで作った漬けだれと、キュウリやキャベツをジッパー付きのポリ袋に入れてもみ込み、半日から1日冷蔵庫で漬け込みます」(ふにふにさん)。「万能ネギを刻んで麺つゆに一晩漬けるだけ。ご飯にかけるもよし、納豆にまぜるもよし、卵焼きに入れたらもう完璧です!」(真ん中からもうぎさん)

 発酵でうまみ

 気になる漬物の栄養価について、管理栄養士で元福島学院大食物栄養学科講師、「ヘルシークッキング教室」主宰の橋本ヨシイさん(郡山市)に尋ねた。

 漬物は、梅漬けや酢漬けなど無発酵のものと、塩漬けや、こうじ漬け、ぬか漬けなど発酵したものに分けられるという。例えば、漬け床の塩、こうじ、米の分量を3対5対8の割合で作る、本県特有の「三五八(さごはち)漬け」は発酵漬物の仲間だ。

 発酵漬物は、塩に漬けて時間がたつと、塩辛さの中にほのかな酸味やうまみを感じるようになる。これは野菜に付着した酵母菌や植物性乳酸菌などが発酵したものだ。こうして発酵した野菜(漬物)を食べると、おいしいだけでなくおなかの調子も整う。特にぬか漬けは、ぬかに含まれるビタミンB1が野菜に浸透し、植物性乳酸菌とともに摂取できるという。

 漬物は塩分過剰になりやすいため食べ過ぎには注意が必要だが、橋本さんは「野菜を摂取できて、腸内環境を整え、免疫力を上げるという長所も見逃せません」と漬物の良さを説明する。

 自分で作ると、手間と時間がかかりそうなイメージもあるが「食べやすく切った野菜とみそをジッパー式のポリ袋に入れて軽くもみ、冷蔵庫で一晩置くだけで、みそ漬けができます。漬け終えたみそは、みそ汁に再利用できます」。これならすぐに試せそうだ。

 「食卓に愛情のこもった漬物が一品加わるだけで心が和みますよ」と橋本さん。余った野菜も無駄なく使いながら、わが家の漬物の味を見つけたい。(佐藤香)