福島民友新聞社に入社を決めた理由を教えてください
「福島」の偏見や誤解を世の中からなくしたいと思ったことがきっかけです。小学5年生のとき、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を目の当たりにしました。「放射能が漏れて福島は危ない」「おかしな形の魚がとれた」など、インターネットを中心に事実に基づかない情報が氾濫する様子に間違った情報が広まる怖さや悔しさを感じたのを覚えています。
大学生のときに本紙の連載企画「復興の道標」などを読んだことで記者の道を強く意識するようになりました。特に第1原発で発生する汚染水の問題では科学的見地を踏まえた解説記事が目を引きました。「冷静に事実を見極め、情報を伝える」という民友の記者の姿に自分の目指す姿とが重なりました。
現在の仕事について教えてください
郡山市を中心に取材しています。警察、消防、司法、スポーツ、イベントと取材先のジャンルは幅広いです。さまざまな現場に足を運ぶ日々は新鮮な気持ちになるとともに、読者に記事を届ける責任感も感じます。
郡山を拠点にしているバスケットボール男子Bリーグの福島ファイヤーボンズの取材も担当しています。試合中はゴール下で写真を撮りながらどの選手を記事で取り上げるか自問自答します。試合の臨場感と熱気を紙面でも伝えています。
仕事で大切にしていること、ポリシー、やりがいを教えてください
記事の先にいる読者の信頼に応えることです。そのためにも記事で間違いを出さないことを第一に心がけています。氏名、日付、場所、数字...など基本的なことにこそ細心の注意を払っています。
取材先によっては、なじみのない専門用語を聞くことがあります。バスケットボールを例に挙げるなら「スクリーンアウト」や「プッシング」などでしょうか。一目見て分かる人もいる一方で知らない読者も多いはずです。小学生が読んでも分かるようにかみ砕いた表現で伝える努力を継続していきたいです。
将来任されたい/やりたい職域、目標を教えてください
入社時に抱いた震災と原発の取材に関わりたいと思う気持ちは今も変わりません。そのためにも、今自分にできることは目の前の仕事に全力で取り組むことだと思っています。どんな現場でも明るく、前向きに。毎日を大切に過ごしながら、福島のこれからの復興の歩みを伝えていける記者になりたいです。
休日やオフには何をしていますか
大学まで野球をやっていました。今でも休日にはバッティングセンターに通っていて、体とスイングの調子が良ければ球速130㌔の打席に立つこともあります。県内をドライブした際にはできるだけその地域の道の駅に立ち寄るようにしています。お土産選びは至福のひとときですね。
就職活動中の方へメッセージをお願いします
多くの人と接する記者職は気を使う仕事といえるかもしれません。明るい話題を伝えるだけでなく、悲惨な事件や事故の現場に踏み込んでいく勇気が求められるときが必ずあります。だからこそ当事者の気持ちに寄り添い、多くの人に伝える仕事はこれからもなくなることはありません。取材で出会った一人一人が成長の原動力になります。新聞記事で人を支え、読者に伝えたい―。そんな思いを抱いた人はぜひ門をたたいてみてください。
・1日のスケジュール
09:00
出社、メール返信、他紙チェック、取材準備
10:00
郡山市内で開かれた絵画展、経営者の講演会などを取材
12:00
昼食がてら郡山市の飲食店を開拓
14:00
高校生のプレゼンテーション大会を取材
16:00
警察署に立ち寄り。事件事故など報道予定の有無を確認
17:00
原稿執筆
18:00
翌日に掲載される地域版など各紙面をチェック。併せて翌日の取材資料を確認
20:00
紙面確認後、帰宅