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除染土、取り組み「妥当」 IAEAのグロッシ事務局長、中間貯蔵施設視察

2025/02/20 09:30

中間貯蔵施設で環境省担当者から今後の対応方針について説明を受けるグロッシ事務局長(左から2人目)=19日午後0時55分ごろ、大熊町

 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は19日、東京電力福島第1原発事故後の除染で出た土壌などの県外最終処分に向けた環境省の取り組みについて「非常に妥当なアプローチで、IAEAの安全基準に合致していることが確認できた」と評価した。安全性確保の観点から最終処分実現に深く関与する意向を示し、20日に日本政府と協議する方針。

 中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)を初めて訪問し、除去土壌を地中に保管する施設のほか、道路の盛り土材に再生利用した実証試験の様子を確かめた。環境省担当者から、県外最終処分期限の2045年3月までの工程や技術基準の策定を進めていることについて説明を受けた。

 視察後、記者団の取材に応じたグロッシ氏は「(保管施設から出る)放射線量は非常に低く、さらに通常の土で覆うなどの非常に保守的な手法が取られている」と指摘。最終処分や低濃度土壌の再生利用に向け「国際的な安全基準に沿って扱われているか、IAEAとして体系的に確認していく」と述べた。

 45年までの県外処分に関しては「実現は可能だと考える。一貫した行政の取り組みやきちんとした予算が必要だ」と語った。「今後は何をするにも地元のステークホルダー(利害関係者)との対話が重要になる」とも強調した。

 20日は浅尾慶一郎環境相と面会する。IAEAの関与について協議するとみられ、国際機関として安全性評価や情報発信にどう取り組むかが焦点になる。

 除去土壌などを巡っては、IAEAが同省の要請を受け、最終処分と再生利用計画の安全性を評価。昨年9月に「安全基準に合致している」と評価する最終報告書をまとめた。同省は今後20年間の工程表に、IAEAから引き続き点検を受け、国際的な情報発信に努める考えを盛り込んでいる。

 グロッシ氏は19日、第1原発周辺で中国、韓国など第三国を交えて始まった処理水の海洋放出に伴う海水の追加モニタリング(観察)に同行した。第1原発構内では東京電力の小早川智明社長と会い、廃炉作業の現状について意見交換した。

 グロッシ氏、廃炉「継続が大事」

 19日に福島第1原発で行った東京電力の小早川智明社長との意見交換後、報道陣の取材に応じたグロッシ氏は、原発廃炉の現状について「(さまざまな取り組みが)包括的に進められている。これを今後も継続していくことが大事」と述べた。

 意見交換では、小早川社長から原発で続く処理水の海洋放出や昨年取り出しに成功した溶け出した核燃料(デブリ)の評価などに関して説明を受けた。グロッシ氏は、現時点では廃炉が着実に進んでいるとの認識を示した上で、これを継続することが地元の信頼につながるとの考えを示した。

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