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新スタジアムのイメージ(左下)。県内屈指の観光交流拠点の小名浜港に新たな魅力が加わる (いわきスポーツクラブ提供)

いわきFC新スタジアムは小名浜港に 収容1万人程度、31年開場目指す

2025/03/29 07:30

 サッカーJ2いわきFCを運営するいわきスポーツクラブ(SC)の大倉智社長は28日、いわき市で記者会見し、新たなホームスタジアムを同市の小名浜港に建設する計画を発表した。整備候補地はアクアマリンふくしまの西側で、同水族館がある2号ふ頭と、小名浜マリンブリッジがある3号ふ頭の間の海に面した県有地約2.8ヘクタール。スタジアムの収容人数は8000~1万人程度を想定し、サッカーの試合がない日も人が集える多機能型の施設にする方針だ。

 整備候補地は現在、駐車場などとして使われており、いわきSCは土地の利用に向け県との間で調整を進めている。総工費は現時点では非公表とした。今後資金計画をまとめ、6月末までにJリーグに整備計画を提示し、2027年の着工、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から20年となる31年のシーズン開幕までの完成を目指す。

 名称は価値創造の場、学べる場などの意味を込めた「IWAKI STADIUM LABO(仮称)」とし、現時点でのイメージは【図】の通り。海側がメインスタンドで、バックスタンド側には5階建てのビルディング棟が建ち、軒下に客席が広がる構造。敷地の3分の2程度を占めるスタジアムはアクアマリンふくしま側に開けた構造で、敷地の3分の1程度は多目的スペースとしてイベントなどを開催できる場所にする。ビルディング棟や多目的スペースに備える機能を今後検討し、人が日常的に集まる施設にする。

 大倉社長は候補地選定に当たり、既存の地域資源との掛け合わせで経済・社会に好循環をもたらす場所が望ましいとするJリーグの考えや、地域資源を周囲の風景として取り入れることで相乗効果を生み出し、新しいシンボルとするべきだとする若い世代の意見などを踏まえ、小名浜港を候補地に選んだと説明。「スポーツの地域創生のモデルケースになればいい」と話した。

 小名浜港はいわき・ら・ら・ミュウやアクアマリンふくしま、イオンモールいわき小名浜など集客力の高い施設が集まる県内屈指の観光交流拠点。夏には常磐道と小名浜港を結ぶ「小名浜道路」が開通予定で、交通利便性はより高まる。スタジアム来場者の駐車場の確保などが今後の課題となりそうだ。

 現在のホームのハワイアンズスタジアムいわきの収容人数は5066人で、昨季のホーム戦平均入場者数は4290人だった。いわきFCはJ1クラブライセンスを持っているが同スタジアムはJ1、J2ライセンスの基準を満たしておらず、現在は「例外規定」が適用されている。規定では、6月までに新スタジアムの整備計画をJリーグに提出し、27年6月までに着工する必要がある。