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除染土審査の役職新設 環境省、再生利用事業者を監督

2025/04/02 08:30

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌の再生利用状況を審査する国の規制機能を巡り、環境省は1日、省内に室長級の企画官ポストを新設した。再生利用の推進部門から独立し、事業実施者に計画から施工、維持管理まで各段階の対応を文書で提出させ、基準を満たしているかどうか確認する。

 新ポストは「復興再生利用・最終処分規制審査企画官」で、再生利用の実務を担当する環境再生・資源循環局長の直轄とした。担当者と計2人を専従させる。

 再生利用事業は、県内で発生した除染土壌については環境省、県外分は除染をした市町村がそれぞれ主体となる。新企画官は、再生利用基準を定めた省令に照らし、放射線量や飛散・流出防止策、定期監視などの規定に合致しているか確認する。違反した場合は是正を求め、計画段階の場合は施工を認めない。

 同局は再生利用の推進と規制の両方を同時に所管することになり、独立性の担保が課題になる。外部の学識経験者が関与する方向で調整が進むとみられるが、担当者は「まだ検討中だ」と述べるにとどめた。

 政府は、放射性物質濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の土壌を各地で公共事業などに再生利用する方針。該当する土壌は県内外で最大約980万立方メートルに上る。基準を定めた環境省令は1日に施行され、全国で再生利用を進めるための制度が整った。

 国際原子力機関(IAEA)は昨年9月公表の報告書で、環境省に「規制機能は事業実施から独立させるべきだ」と提言した。国の放射線審議会も事業が適切に進められているか確認する体制が必要と指摘していた。

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