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新版画ブームの火付け役、渡辺庄三郎の挑戦 福島県立美術館で企画展

2025/04/08 10:50

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フリッツ・カペラリ「傘(雨中女学生帰路の図)」(1915年、渡辺木版美術画舗蔵)。ばれんの刷り跡をあえて残す「ざら刷り」が着物の部分に使われている
川瀬巴水「清洲橋」(1931年、渡辺木版美術画舗蔵)。川瀬は洋画と日本画の両方にルーツを持つ画家。関東大震災からの復興のシンボルである近代的な清州橋と、昔ながらの風景が描かれている
花鳥画を多く描いた小原祥邨の「柘榴(ざくろ)に鸚鵡(おうむ)」(昭和初期、渡辺木版美術画舗蔵)。オウムの白い羽毛とザクロの赤、何度も塗り重ねられた墨の黒がコントラストを生み出している
渡辺の元で版画を制作した英国の作家チャールズ・W・バートレットの「ホノルル漁夫」(1919年、渡辺木版美術画舗蔵)。刷られた和紙の地の色を生かした空の表現や、何層にも分かれた海の青のグラデーションが印象深い

 明治以降、西洋の写真や印刷技術などが流入した影響で衰退していった木版画に新たな価値を生み出し、「新版画」として再興させた人物がいた。県立美術館(福島市)で開かれている企画展「THE新版画 版元・渡辺庄三郎の挑戦」では、版元として新版画ブームをけん引した渡辺庄三郎(1885~1962)の創意工夫の軌跡に光が当てられている。  渡辺庄三郎は現在の茨城県の大工の家に生まれ、17歳から横浜の浮世絵商の...

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