「歯みがきで丈夫な体の基礎づくり」を標語とした歯と口の健康週間が10日まで展開されている。歯と口を健康な状態に保つことは、生活の質を保つ大前提だ。口の状態を把握して、ケアを充実させることで、自らの健康寿命の延びにつなげたい。
歯の本数が減り、かむ力など口の機能が衰えると、話すのがおっくうになって人との交流が減ったり、食欲が低下したりすることにつながる。高齢者がこうした状態になると、要介護の前段階に位置づけられるフレイル状態に陥りやすいとされている。
県は、口の機能の低下は早期に対策を行うことで回復できるとして定期的な歯科受診を呼びかけている。高齢者で半年前と比べて硬い物が食べにくくなったり、お茶や汁物などでむせったりする人は、歯科医に相談してほしい。
ただ、高齢になってから口を健康な状態に戻すのは容易ではない。若いうちから歯や口のケアを続けることが重要となる。
若い世代が最も注意してもらいたいのは、歯と歯ぐきのすき間に細菌が入り込んで起こる歯周病だ。土台の骨が溶けるなどすることで歯の減少に直結する。心臓の病気や糖尿病などとの関連も指摘されている。県内でも、40歳以上の2人に1人は歯周病というデータがある。
歯磨きに加え、歯間ブラシなどで歯垢(しこう)を取り除く習慣を身に付けることが大切だ。定期的に歯科医に通って、自分では取り切れない歯垢を取ることも必要だ。
喫煙者は煙に含まれる有害物質の影響で、歯周病にかかりやすく、治療を始めても治りが遅いことが分かっている。喫煙している人は禁煙も考えるべきだ。
本県は虫歯のある子どもの割合が改善傾向にあるものの、全国平均よりも悪い状況が続いている。子どもの頃から歯磨きを徹底するなど、口の健康を守る習慣づけ、意識づけが欠かせない。家庭では、「歯を磨きなさい」と促すだけではなく、磨き残しがないかを確認する、家族で一緒に歯を磨く時間をつくるなどして、日常的に歯の大切さを意識できる環境をつくってほしい。
県は、学校や幼稚園、保育園で虫歯を予防する働きのあるフッ化物の入った液体によるうがいを行うことを推奨している。ただ、未実施や一部実施の市町村が多いのが現状だ。フッ化物によるうがいは、大人になってからも効果が持続することが分かっている。未実施などの市町村は全面実施を検討してほしい。