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双葉町、26年度避難解除へ…帰還居住区域3行政区、年内には立ち入り緩和も

2025/06/11 07:45

 双葉町は10日、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、特定帰還居住区域に設定された下長塚、三字、羽鳥の3行政区について、年内に先行して立ち入り規制を緩和し、2026年度内の避難指示解除を目指す方針を示した。特定帰還居住区域を設定している県内5市町で、避難指示解除の見通しが示されるのは初めて。町は早期に解除時期の見通しを示すことで、住民帰還の機運を高めたい考えだ。

 伊沢史朗町長が10日開会した町議会の一般質問で明らかにした。特定帰還居住区域は、特定復興再生拠点区域(復興拠点)を除く帰還困難区域に設定される。帰還意向のある住民が帰還、居住できるように、周辺道路なども含めて除染し、避難指示を解除する制度で、23年に新設された。

 町内では、これまでに9行政区計530ヘクタールが特定帰還居住区域に設定され、除染が進められている。このうち下長塚、三字、羽鳥の3行政区はいずれも地区の一部が復興拠点に含まれており、すでに避難指示が解除された地域と混在しているため、行政区内の分断を解消するため、先行的に解除を目指す方針とした。

 面積は3行政区で約110ヘクタールを見込む。町は現在、特定帰還居住区域の設定に向けた2回目の帰還意向調査を町民に実施中で、調査結果も反映させ、避難指示解除の対象とする考えだ。

 避難指示解除を前に町は今夏、3行政区の約60世帯を対象に立ち入り規制緩和に向けた住民説明会を開く考え。緩和されればバリケードなどが撤去され、宿泊はできないものの、通行証などの申請なしで24時間、自由に立ち入ることができるようになる。

 最終的な避難指示解除に向けては、年間追加被ばく線量が20ミリシーベルトを下回ることや、インフラ・生活関連サービスの復旧など、解除の3要件を踏まえて、国や県と協議していく。伊沢町長は「スピード感を持って、関係機関と必要な取り組みを進めていく。古里に帰還したいという町民の思いに寄り添って、国にも要望していく」と述べた。

 帰還居住区域、5市町で2133ヘクタール設定

 復興庁などによると、特定帰還居住区域は双葉に加えて、大熊、浪江、富岡、南相馬の計5市町(計約2133ヘクタール)で設けられている。

 このうち大熊、双葉の両町で2023年12月、浪江町で昨年6月、富岡町で同9月に除染や家屋の解体が始まった。

 国は20年代の希望者全員の帰還を目指し、除染などを集中的に進めるとして特定帰還居住区域を設定。一方で、除染完了や避難指示解除の具体的な時期は示していない。


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