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「浪江十日市」15年ぶり新町通りで 11月、震災前と同じ会場に

2025/06/28 08:40

震災前、新町通りで開かれていた「十日市」。大勢の買い物客が詰めかけた=2010年11月

 浪江町の伝統行事「十日市」が今秋、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から15年ぶりに、かつての開催場所だった新町通りに会場を戻して開かれる見通しとなった。原発事故からの住民帰還が進み、復興も前進したことを踏まえ、かつての行事の姿と新町通りのにぎわいを取り戻し、文化の継承につなげる。

 27日に十日市の運営委員会が開かれ、承認された。十日市は明治初期に産業振興と経済発展を目的に始まった、150年以上の伝統を誇る秋の恒例行事。商店が並ぶ町のメインストリートの新町通りを歩行者天国にし、震災前は約300店の露店が立ち並ぶほどにぎわいを見せていた。

 震災後は役場機能を置いていた二本松市で再開。2017年3月に町の避難指示が解除されてからは、帰還した商店が少なかったことなどから、集まりやすい町地域スポーツセンターを会場に開かれていた。一方、町民などからは新町通りでの開催を望む声や懐かしむ声が寄せられていたという。

 町内で活動する任意団体「なみとも」や町民有志が新町通りでイベントを開き、にぎわいづくりを進めて機運を高めてきたこともあり、新町通りでの再開に結び付いた。

 今回の十日市は11月22、23の両日に開催される予定。震災後から名称を「復興なみえ町十日市祭」としてきたが、復興が前進したことを踏まえて「復興」を取り、名称も震災前に戻すことにした。昨年の来場者は2日間で3万人で、今年は4万人を目指す。

 十日市を主催する運営委員会の鈴木仁根会長(71)は「町の中心だった新町通りで十日市をやることに意味がある。再びにぎわいをつくり出したい」と強調。阿久津雅信実行委員長(54)は「買い物を楽しみに来ていた十日市本来の姿を取り戻すための新たな一歩にしたい」と意気込んだ。

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