浪江町は15日、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、避難指示解除に向けた特定帰還居住区域について、住民の準備宿泊の受け付けを始めたと発表した。自宅があり、宅地や生活環境の除染が完了したことなどを条件に、国が特例で最長3週間の宿泊を認める。避難指示解除の時期は未定。特定帰還居住区域を設定している県内5市町で、準備宿泊の受け付けを始めたのは初めて。
対象は特定帰還居住区域の約300世帯。このうち自宅周辺の除染と、電気やガスなどのインフラ整備も終わり、実際に準備宿泊が可能な世帯は限られているとみられ、国が詳細な世帯数を調査している。初日の申請はなかった。
先行して避難指示が解除された特定復興再生拠点区域(復興拠点)に隣接する宅地などは既に除染が終わっており、現段階で準備宿泊に該当する見込み。町は除染の進み具合に合わせ、準備宿泊が可能な範囲も拡大させていく。
準備宿泊が始まった後も立ち入り規制は継続され、バリケードは残ったままとなる。宿泊者には通行許可証が必要で、放射線の積算線量計を携帯してもらう。
特定帰還居住区域は、復興拠点から外れた地域に設定される。復興拠点は行政区や集落単位で区切られ、避難指示解除の前段として一斉に立ち入り規制の緩和や準備宿泊が進められてきた。特定帰還居住区域は、帰還を希望する個人の宅地や生活圏が除染の対象となるため、町は準備宿泊を世帯別の対応とし、帰還の準備を進めてもらう方針だ。