学校の授業など教育現場で新聞を活用する「NIE(教育に新聞を)」の普及や先進事例を共有する第30回NIE全国大会が31日、神戸市で開幕した。「時代を読み解き、いのちを守るNIE」をスローガンに、阪神大震災から30年を迎えた同市で、生きる力を育むためのNIEの可能性を探る。1日まで。
日本新聞協会の主催。全国の教育、新聞社の関係者ら約1760人が参加。初日は芥川賞作家の小川洋子さんが「言葉は人をつなぐ」と題して講演した。小川さんは情報との接し方について「受け取った自分の人間性や人格が問われる」と投げかけ「『自分とは関係ない』と切り捨てて忘れてしまうのではなく、ニュースに出てくる人のことを『どんな人なんだろう』と想像力を巡らせる読み手の心の余裕、包容力をぜひ育ててほしい」と語った。
パネル討議も行われた。ジャーナリストの池上彰氏を司会に迎え、兵庫県立大大学院減災復興政策研究科の阪本真由美教授、神戸新聞社の長沼隆之論説副委員長らが「情報で、いのちを守る」をテーマに意見を交わした。
このうち阪本教授は、震災から30年が経過し「震災前を知らない学生にとって震災後は分からない。震災前を含めて復興を教える必要がある」と指摘。その手掛かりの一つとして「震災当日何が起きたのか、その時に生きた人の立ち位置になって見せてくれるのが新聞。震災の復興過程で私たちが欲しかった情報を知ることができる」と新聞が果たすべき役割を語った。
大会には本県の教諭ら計12人が参加し、新聞の活用事例を考えている。
参加教員
榊原康夫(船引小)高橋泰史(桜の聖母中・高)小河美智子(川谷中)岡田征之(船引南小)五ノ井直人(城西小)村上有香(庭塚小)川名有香(渡利中)佐久間桃(桜の聖母中)小林恵子(桜小)上遠野澄枝(原町三中)国原純(学法石川高)松下小町(常葉小)