福島県教委と福島大は本年度、教員を志す県内の高校生が大学の教職課程の一部を先行して履修できる仕組みを導入する。大学入学後に教職課程を履修した際は、修得済みの単位として認定する。教員は全国的になり手不足が深刻化しており、本県でも教員採用試験の志願倍率は低下が続く。高校生が早くから、教職員養成の専門的な学習に触れる機会を設けることで、本県を支える教育人材の育成・確保につなげたい考えだ。
対象となるのは、県立高校普通科の「教育コース」で学ぶ生徒。教育コースは県教委が教員養成学部などへの進学を目指す高校生を対象に、2022年度に導入した。現在は橘、福島東、相馬、原町、郡山、安積黎明、白河、葵、磐城桜が丘の計9校にある。
先行履修は希望者向けに10月から開始。本県の復興などを学ぶ「ふくしま未来学入門2」が対象で、生徒が来年1月まで、オンラインで受講できるようにする。学年は問わず、放課後など都合に合わせて無料で受講が可能だ。授業時に課される課題やリポートで総合的に成績を評価する。
福島大は生徒が同大人間発達文化学類(27年度以降は仮称・教育学部に再編)に入学し、教職課程を履修した場合に単位として認定する。
県内では教員の志願者減少が深刻な課題となっている。県教委が6月に公表した本年度の公立学校教員の選考試験志願状況によると小学校の倍率は1.1倍(前年度比0.1ポイント減)。小中学校、高校、特別支援学校、養護教諭を合わせても2.3倍(同0.4ポイント減)と全ての校種で採用試験を再開した東日本大震災翌年の12年度以降で最低だった。
県教委は教職課程の先行履修導入で教員を目指す生徒の意欲向上を図るほか、地元の大学で学ぶ学生を増やし、教員の志願者増にも結びつけたい考えだ。
先行履修は県教委と同大が23年度に結んだ連携協定に基づく。大学側も意欲ある学生を確保できるという利点がある。協定では、地元の就職希望者に一定の入学枠を設ける制度「地域教員希望枠」の新設も目標の一つに盛り込んでいた。
県教委は「福島大との連携を強化して教育コースのプログラムを充実させ、本県教員を志す人材の育成を推進していく」(高校教育課)としている。