県内での確認例が少ない爬虫(はちゅう)類「ニホンヤモリ」が会津若松市で発見された。会津地方で見つかった例は珍しく、県レッドリスト爬虫・両生類部会の稲葉修部会長(58)によると、会津地方では2015年に喜多方市の住宅内で見つかったことが確認されているが、会津若松市での発見事例はないという。
今回確認された個体は全長10.5センチほど。ニホンヤモリの特徴である灰褐色で濃淡があった。稲葉部会長は「船や車などの積荷などにまぎれた個体が、人の手を介して運ばれ、その場所で繁殖していくこともある。地球温暖化が進む現在、各地で生息を確認できる可能性がある」と指摘した。
ニホンヤモリは、会津生物同好会で会長を務める栗城英雄さん(77)が会津若松市の自宅で発見。会津若松市身近な生き物基本調査会議の委員で喜多方高の菅原宏理教諭(56)がニホンヤモリと確認した。栗城さんは「昨年8月に自宅で初めて見つけ、『今年も出てくるか』と待っていたら7月ごろから確認することができた」と話した。
栗城さん宅で2年連続で確認された個体が同じだとすれば、越冬した可能性もある。菅原教諭は「会津の冬の外気温では生息できないはず。2年連続で同じ場所に人為的にニホンヤモリが運ばれてきたとは考えにくいので、越冬した可能性が高いと思う」とした。
稲葉部会長も同様の考えで「越冬の可能性は高い。自ら移動して生息域を拡大していく生物ではない」とし「今後、東北など北国でどう生息域が広がっていくのか関心を持っている」と話した。
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ニホンヤモリ 国内では本州から九州にかけて広く分布し、近年は北海道からの確認記録もある。稲葉部会長によると「ニホンヤモリ」という和名だが、遺伝的な解析結果も踏まえると、温暖な気候の中国南東部が原産の国外外来種であると考えられている。