小泉進次郎農相は28日、福島市を訪れ、県内の稲作農家らと意見交換した。終了後、報道陣の取材に応じた小泉氏は、高温に伴うコメの生育への影響に危機感を示し、対策強化に向けて意欲を語った。
国は高温に強く、収穫量の多い新品種への切り替えを後押しする方向で調整している。小泉氏は「(最近の高温は)今までとは違う次元のもの」と強調し、「(意見交換で)単純に予算をつけて種を増やすだけでなく、営農指導をきめ細かく進める必要があるとの声もあった。しっかり受け止めて対応しなければならない」と応じた。
2025年産の主食用米の生産を巡っては、本県など38道府県が前年実績より作付面積を増やす意向を発表しており、全体の生産量は前年実績比56万トン増となる見通し。小泉氏は「量だけで見れば価格安定化に向けた効果のある量だ。ただ(高温で予定通り収穫量が)出てくるとの見通しは持つべきではないので、最後まで注視したい」と言及した。その上で「農家の皆さんが再投資できるよう手取りが上がっていくことと、消費者の皆さんが安心して買える状況をつくらなければならない」と述べた。
また国が27年度以降に増産へと舵を切る方針に生産者側で賛否が分かれることについて、小泉氏は「増産の余力がなかったり、増産に適する環境ではない方にも一律に求めているわけではなく、増やしたい人に生産抑制することはない」と説明。効率的に作業できるよう、ほ場の集約化に向けて基盤整備の予算を調整しており「丁寧に説明して課題を乗り越えたい」と述べた。
このほか小泉氏は、郡山市の楪(ゆずりは)園芸で、水を張らない乾いた農地に直接稲の種をまく「節水型乾田直はん水稲栽培」のほ場を視察し、稲作農家と意見を交わした。