赤沢亮正経済産業相は25日、就任後初めて本県を訪れ、東京電力福島第1原発を視察した。視察後、県庁で内堀雅雄知事と会談し、第1原発の廃炉を最優先課題と位置付け、国として責任を持って取り組む姿勢を強調した。
会談は冒頭を除いて非公開。赤沢氏は第1原発の廃炉や帰還困難区域の避難指示解除、なりわいの再生と新産業の創出を課題に挙げ「現場主義を徹底し、国が前面に立ち、福島の復興に最後まで責任を持って取り組んでいく」と明言した。
内堀知事は、避難指示が出た地域の復興・再生や廃炉、第1原発で発生する処理水の海洋放出への対応の3点を要望。廃炉を「福島復興の大前提だ」とした上で、国が最後まで責任を持って取り組むべきだと訴えた。処理水を巡っては「油断大敵だ」と指摘し、海洋放出が完了するまで東電を指導するよう念押しした。
赤沢氏は会談後、報道陣の取材に応じ、廃炉と処理水の海洋放出について「安全確保を最優先に、着実に進めていくべきだとの認識を新たにした」と語った。
環境省を中心に推進する県内の除染で出た土壌などの県外最終処分にも取り組む考えを示した。「被災者にとって、どの省庁の所管かは関係ない。政府全体として住民の期待に応えなければならない」と述べた。
県庁訪問に先立ち、赤沢氏は大熊町で吉田淳町長、双葉町で伊沢史朗町長とも会談した。吉田、伊沢両町長は復興に向けた課題が山積する現状を説明し、中長期的な支援を要請した。
東電幹部と意見交換
赤沢経産相は東京電力福島第1原発を視察後、東電幹部らと廃炉の現状や課題について意見を交わした。
赤沢氏は、第1原発2号機で2度行われた溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しに触れ「難度の高い廃炉作業の中、重要な前進が見られたと認識している」と言及。長期の廃炉作業で「安全確保を最優先に、人材と産業の育成や情報発信など、地域との共生を進めてほしい」と求めた。
東電の小林喜光会長は「緊張感を持って復興と廃炉の両立に取り組み、福島への責任の貫徹に全力を尽くす」と応じた。
