米大リーグで、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希の3選手が所属するドジャースが、ワールドシリーズ(WS)の2連覇を達成した。WS連覇は、21世紀になって初の快挙となった。山本選手は、投手として3勝を挙げ、日本人として2009年の松井秀喜さん以来のWS最優秀選手に選ばれた。
WSは、ドジャースとブルージェイズが7回戦制で頂点を競った。ドジャースは延長十八回の激戦となった第3戦を制し、白星を先行させた。しかし4、5戦を落とし、追い詰められた状況で敵地に乗り込んだ。6戦は山本の好投で切り抜けたが、最終戦はブルージェイズの猛打で押される展開に。攻撃陣が懸命に食い下がって逆転し、最後は「中0日」で登板した山本が締めて勝利を収めた。
球史に残る激闘で見られた、大谷選手のホームランを含めた投打二刀流の活躍や、山本選手のチームのため疲労をいとわず投げきった姿勢には、野球ファンならずとも心を動かされるものがあった。野球の本場である米国で躍動し、WS制覇の栄冠を勝ち取った日本人3選手の努力をたたえたい。
山本選手は、最終戦のピンチの場面で登板し、冷静な配球で勝利に貢献した。その時の心境を「もう無心で野球少年に戻ったような気持ちだった」と振り返った。世界的な選手の原点には、懸命に白球を追いかける少年時代の経験があった。大谷選手と佐々木選手は岩手県出身で、東北の地で重ねた努力が基礎となり、野球の本場で認められる選手となった。
大谷選手はかつて、全国の小学校に「このグローブが次の世代に夢を与え、勇気づけるシンボルとなることを望んでいます」というメッセージとともにグラブを寄贈し、野球への関心を高めた。今回のWSでの日本人選手の活躍も、野球などの球技に取り組む若い世代に大きな夢を与えたことだろう。青少年スポーツの一層の振興が、地域の活力につながるといい。
佐々木選手は今季、投手として鳴り物入りでドジャースに入団した。5月に初勝利を挙げたものの、けがで長期離脱を余儀なくされた。めげずに調整を続け、終盤にこれまで経験がなかった救援投手として復帰を果たした。WSでの出番は少なかったが、チームの一員として連覇に貢献した。
佐々木選手は小学3年生の時、東日本大震災の津波で自宅を流され、父と祖父母を亡くした。震災から14年を経て、悲痛な体験を乗り越えた堂々たる姿を見せている。被災地に勇気を与え続ける投手になることを期待したい。
