郡山市出身の作曲家で昨年7月に94歳で死去した湯浅譲二さんの追悼コンサートが12日、東京・新宿の東京オペラシティリサイタルホールで開かれ、聴衆が現代音楽界をけん引した巨匠の足跡をたどった。
現代音楽の演奏家や作曲家でつくる室内合奏団「アンサンブル・コンテンポラリーα」の主催。コンサートは湯浅さんの教え子で同団副代表の作曲家伊藤弘之さんが発案、監修を務めた。
演目は「内触覚的宇宙」(1957年)や「弦楽トリオのためのプロジェクション」(2001年)、「『世阿彌(ぜあみ)・九位』4チャンネルテープと室内アンサンブルのための」(1987~88年)など、50年代から半世紀に及ぶ楽曲群からよりすぐった7曲。演奏機会の少ない楽曲も交えつつ、独奏に始まり、徐々に編成を広げ終幕に向かうプログラム構成が光った。
「練習を重ねるごとに、団員が湯浅先生の音楽に引きつけられていくのが分かった」と伊藤さん。「演奏家の感動が聴衆に届いた。『心が動いた』との言葉もいただき、私自身も心が揺さぶられた」と手応えを語った。舞台では若手が奮起。熱心に耳を傾ける若者の姿もあったといい、伊藤さんは「湯浅先生の音楽が後世に伝わるよう期待する」と話した。
湯浅さんは幅広い音楽性とテープやコンピューターなどを用いた独自の作曲法で知られる。戦後の前衛芸術をリードした「実験工房」で作曲家武満徹さんらと活動。国内外で多くの委嘱を受け、2014年に文化功労者に選ばれた。
