任期満了に伴う二本松市長選は30日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属で現職の三保恵一氏(76)=4期=が1万2099票を獲得、新人の隠津島神社禰宜(ねぎ)安部章匡氏(44)ら無所属の新人2人を破り、5選を飾った。任期は25日から4年。
市は1日で新市合併20周年を迎える。8年ぶりの選挙戦では、通算4期16年に及ぶ三保市政の継続か刷新かが問われた。三保氏は学校給食費の無償化を柱とする子育て支援策の充実や、旧1市3町の特色を生かしたまちづくりの推進などを訴え、幅広く支持を集めた。
市長選には新人の会社経営高橋翔氏(37)も立候補した。
投票率は54.87%で、選挙戦となった8年前の前々回を11.37ポイント下回り過去最低を更新した。
当日有権者数は4万2764人(男性2万1056人、女性2万1708人)。当選証書付与式は1日午前10時から、市役所で行われる。
【三保恵一氏略歴】安達高卒。農業。安達地方広域行政組合管理者。旧二本松市長1期、県議5期、県議会議長。
「市民が主役」基本に
三保恵一氏の話 「市民が主役。市民とともに」を基本に、皆さんの声を大切にしながら「チーム二本松」として全力を挙げ、新しい希望のある未来を切り開いていく。
【戦いの跡】安定を重視、継続選択
5選を狙う現職に30代、40代の新人2人が挑んだ二本松市長選。市政の継続か刷新かが問われたが、有権者は安定性を重視して継続を選択、現職の三保恵一氏にかじ取り役を託した。
告示1週間前までの無投票ムードから一転、8年ぶりの選挙戦に入ったが、三保氏は通算4期16年で培った知名度の高さと実績を生かし、選挙戦を優位に展開した。市内全域に設けた約70の地区後援会をフル稼働させ、組織戦を徹底、大票田の旧二本松市をはじめ、安達、東和、岩代各地区でも着実に支持を拡大した。
新人の安部章匡(あきまさ)氏は「共創型市政」を掲げ、告示2日前に立候補を表明。先の福島、郡山両市長選と同様に「若い力」を期待する声を追い風に、多選の批判票などの受け皿として反現職勢力の結集を図った。後半猛追したが、準備の遅れが最後まで響き、知名度不足を挽回できなかった。
無投票を阻止するとして同じく告示直前に出馬表明した新人の高橋翔氏は「観光産業の再構築」などを主張したが、及ばなかった。
新市合併20周年を迎える中、少子高齢化に伴う人口減少対策や過疎・中山間地域の活性化、観光交流人口拡大に向けた取り組みなど課題が山積する。時代に即した解決策を打ち出し、実行に移せるか、三保市政の”集大成”ともいえる5期目の行政手腕が注目される。
