亡くなった妻が旧優生保護法下で不妊手術を強制されたとして、札幌市の高橋英弘さん(86)が21日、補償法に基づき、自身と妻の分の補償金計2千万円を北海道庁の窓口に申請した。申請後、高橋さんは道庁で記者会見し、手話で「妻に報告する」と語った。
手術の記録は病院に残っていなかったが、生前に不妊の回復手術について札幌市に相談した記録が見つかったという。支援する大和田貴史弁護士は、直接的な証拠がない中で手術を受けた本人以外の申請が通るにはハードルがあるとした上で「このケースで認められれば、勇気を出して後に続く方も増えると思う」と強調した。
高橋さんらによると、ろう学校(当時)で出会った妻の勢津子さんは1966年ごろ、人工妊娠中絶手術と不妊手術を受けさせられた。勢津子さんは2018年に亡くなった。
補償法は1月に施行され、本人が死亡した場合も配偶者や遺族による請求が可能。請求の際には事実関係の調査や資料作成を弁護士がサポートする制度もある。