千島歯舞諸島居住者連盟関東支部は26日、第2次世界大戦後に旧ソ連によって北方領土から樺太経由で強制退去させられた元島民の名簿を、札幌市内で関係者に公開した。国立公文書館に保管されていた引き揚げ船16隻の乗船名簿で、約8800人の記載があった。
公文書館から写しを取った連盟関東支部事務局長の落語家三遊亭金八さん(54)は「多数の元島民らに見てもらい、島の記憶の継承に活用したい」と期待を寄せている。
名簿には、1947~48年の北方四島からの引き揚げ者名と性別、年齢、職業、退去前の住所などが記されている。三遊亭金八さんが「元島民の高齢の父から今のうちに島の話を聞いておきたい」と、関連資料を探す中で公文書館に問い合わせ、存在を確認した。
26日に札幌市で開かれた連盟の総会後に公開され、元島民や家族ら数十人が閲覧に訪れた。択捉島の元島民で北海道函館市の宝金和江さん(92)は「自分の名前を見つけて涙が出た。引き揚げ船が函館に着いたとき、白いパンがとてもおいしかったことを思い出した」と話した。