虐待を受けるなどした子どもを児童相談所が親から引き離す一時保護の際、裁判官が要否を判断する新制度が6月から始まった。親の同意がない場合に児相が裁判所に「一時保護状」を請求する仕組み。強制措置である一時保護は、親との間でトラブルになることも多く、司法審査で措置の適正性、手続きの透明性を確保する目的がある。
制度導入で児相業務の負荷が増すと見込まれる。こども家庭庁は、児相の人員体制強化を進めている。
改正児童福祉法が2022年6月に成立し、制度が盛り込まれた。一時保護の要件は「必要があると認める時」としていたが、新たに同法施行規則で「虐待の恐れがある場合」「児童が自らの保護を求めた場合」などと具体的に定めた。
制度で児相は、親の同意がない場合や判然としない場合、保護開始前か開始から7日以内に裁判所へ一時保護状を請求。親や子どもの意見も聴取して書類にまとめる。裁判官は、要件に該当しているかを確認するなどし、一時保護状を出すかどうかを判断する。請求が却下された場合に児相は不服を申し立てることができる。