「祇園精舎の鐘の声」から始まる平家物語の一節に、はかなさの象徴として登場する「沙羅双樹の花」が京都市右京区の東林院で見頃を迎え、特別公開が9日、始まった。コケの上にころんと散り落ちた小さな花々に、参拝客が見入っていた。
沙羅双樹として知られているのはナツツバキ。白い花が朝に咲き、夕方に散ってしまうことから、平家物語では「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」と記されている。毎年見に来ているという京都市の会社員稲岡万里子さん(58)は「前の日には戻れないというはかなさ、一日一日を大切にしたいと実感できる」と話した。
特別公開は「沙羅の花を愛でる会」として22日まで開催。