土木学会は11日、国難級の巨大災害の被害を想定した最終報告書をまとめ、南海トラフ巨大地震が起きた場合、発生後20年余りの経済的被害が1466兆円と推計されると明らかにした。2018年の前回推計1410兆円から増加。首都直下地震の被害推計も物価上昇の影響を加味した結果、昨年3月の中間報告書の1001兆円から1110兆円に膨らんだ。
南海トラフを巡って、政府の作業部会が今年3月に公表した新想定は、交通寸断による影響を含めた被害推計を最大292兆円としていた。政府は生産・サービス低下の影響を被災後1年に絞ったのに対し、土木学会は東日本大震災後の状況を踏まえて、経済が復興するとみられる発生後22年弱の被害額を算定しているため金額が大幅に上回る。
東京都内で記者会見した土木学会小委員長の藤井聡京都大大学院教授は「政府がインフラ整備など対策に取り組んでも被害は6~7割残る。個人や企業による備蓄や耐震補強などの取り組みを、国民全体で推進することが重要だ」と述べた。
