倒れないサッカー体現 いわきFC、サポーターに届けた今季初勝利
03/10 08:15
勝利を告げる笛がスタジアムに鳴り響くと、歓喜の輪が広がった。9日、ハワイアンズスタジアムいわき(いわき市)で鹿児島ユナイテッドFCを3―1で破り、J2で2年目となる今季初勝利をつかんだいわきFC。果敢に相手に食らい付き「90分間止まらない、倒れないサッカー」を体現してサポーターに勝利を届け、喜びを分かち合った。
山下、浜通りに届けた勝利
「気持ちを切り替えて勢いに乗ることができた」。試合後、MF山下優人は満足そうな表情を浮かべた。後半32分、勝利を決定付ける3点目を決めた山下は「勝ちにこだわるためにも、とにかく(足を)振り抜くだけだった」と振り返った。
チームはここまで2試合を戦い、1得点と思うように得点を挙げられていなかった。初めて2点以上を決めたことに、田村雄三監督は「選手一人一人のプレーの質を高め、前回からの改善が見られた」と選手たちを評価する。
山下は「サポーターも喜んでくれるし、その姿を見てまた自分たちも勝利を届けられるように頑張りたいとより思うことができる」とかみしめた。
この日は東日本大震災から13回目の「3・11」を前にした一戦でもあった。チーム最古参の山下は「震災があってこのチームができた。必死にプレーすることで元気や勇気を届けられる。全員でそこを認識して臨むことができた」という。スタジアムで躍動する選手たちの脳裏には、被災者への思いも刻まれていた。
命名権(ネーミングライツ)契約に伴う昨年10月のスタジアム愛称変更後、初めての勝利も重なった。3599人が集まる中、二重の「初」勝利に、サポーターでいわき市の北郷善行さん(42)は「やっと勝利を見届けることができた」と喜んだ。同市の岡部明子さん(54)は「このままの勢いで戦い続けてほしい」と期待を込めた。