立秋を過ぎても寝苦しい夜が続く日々。快適な眠りのための寝具の選び方を、福島市の「眠りの専門店 たけじん」店長の渡辺明美さんに聞いた。
まずは枕の選び方から。たけじんでは自分の体形に合わせて作るオーダーメードの枕が人気だという。
オーダーの場合、最初に身長を測るような専用の機械で、体の背面と側面の凹凸を測定する。次に、硬さが異なる5種類のパイプや綿から枕の素材を選ぶ。硬さは好みで選べるが、渡辺さんによると「中ぐらいの硬さの素材が人気」だという。
素材が決まったら、最初に計測した高さに合わせて枕の6カ所のポケットに詰めていく。高さを整え、最後にフィッティング(使い心地の確認)をして出来上がり。計測から完成まで30分から1時間程度で自分だけの枕が手に入る。
この枕は洗濯機で洗えるほか、店では10年間無料で高さを調節してもらえる。「良い状態をキープして使い続けてほしい」(渡辺さん)
ウレタン製主流
次に敷布団(マットレス)について聞いた。
マットレスといえば、ポケットコイルやボンネルコイルなどと呼ばれるスプリング(バネ)を内部に敷き詰めたものが多かったが、大きくて扱いにくいことや、廃棄処分の難しさなどから、店では最近はウレタン製が主流だという。ベッドのマットレスとしても、床に直接置いて敷き布団としても使える。
性質の異なる数種類のウレタンを重ねたものや、表面を凹凸にして体圧の負荷を分散する構造、通気性の向上など、快適な眠りのための機能性を追求した商品がそろい、眠りは科学だと思わされる。店内には、世界的に有名なあのスポーツ選手が使っていると話題のマットレスも展示されていた。
掛け布団の素材は、今は羽毛が主流だ。羽毛布団は価格の幅が広いが、価格の違いは羽毛の量や大きさ、品質の差だという。その他にも、高価なものはかけたときに体と布団の間に隙間ができにくいなど、仕立ての違いもある。渡辺さんは「お店で実際に体にかけてみて違いを比べてほしい」と呼びかける。
羽毛布団は長く使い続けるうちに、生地が傷むほか、羽毛が黄ばんだり固まったりすることもある。羽毛布団診断士の資格を持つ渡辺さんは、10年を目安にリフォームすることを勧めている。リフォームでは羽毛を全て取り出して洗い、新しい生地に詰め直すほか、必要に応じて羽毛を足している。
寝冷え防ぐ絹
寝苦しさや熱中症予防から、エアコンをつけたまま寝ることの多い今の季節は、タオルケットだけでは体が冷えてしまうことも。渡辺さんに寝冷えを防ぐお薦めの掛け布団を聞くと「本当は『真綿布団』と呼ばれる、中身が全て絹製の布団がお薦めですが、安いものでも6万円ぐらいします。羽毛の(薄手の)肌掛け布団ならもう少し手頃で、2、3万円ぐらいで買えます」。朝までエアコンをつけたままだから、夏も羽毛布団や毛布で寝るという人も増えているそうだ。
渡辺さんの店には「首や肩の痛みなどの悩みがあるお客さんが、まずは手頃な枕から替えてみようと訪れるケースが多い」という。寝具は毎日使うものであり、健康につながるもの。寝具を一つ替えただけで、眠りの質がぐっと向上するかもしれない。(佐藤香)