参院選は投票日を迎えた。既に期日前投票は済ませた人は多いだろう。これから投票所に行こうというところかもしれない。もしも、投票に行くつもりがないという読者がいるならば、ぜひ考え直してもらいたい。
国政選挙は投票率の低下が長年続いている。日本は経済が好調で、社会保障も行き届いていたから、政治への関心が高まらなかったことが要因と分析をする識者もいる。政治に関心を持たなくても自らの生活への影響が少なかったとの考え方だ。
確かに実際に投票率が低下したのは、1990年前後、日本は国内総生産(GDP)で世界2位の経済大国だった頃だ。しかしその後、日本はバブル景気の崩壊を契機に、「失われた30年」と呼ばれる低成長時代に入った。GDPは中国やドイツに抜かれた。社会保障は現役世代の負担が増すなどしており、制度の信頼が大きく揺らいでいる。
日本がこうした現状のままで良いと考える人はそう多くあるまい。政治に関心を持たなくても生活が安定して営める状況でないのは明白だ。
国の経済政策や社会保障の仕組みを決めるのが、政府や国会の役割だ。投票に行かなければ、ほかの有権者に自分の未来を白紙委任しているのに等しい。もしも暮らしが思うようにいかなくなった時に政治が悪いからだと非難しても、説得力を持たないことは理解しておきたい。
きょうの本紙は、各政党、候補者の選挙戦最終日の訴えなどを詳報している。本紙や選挙公報、各党がインターネットに掲載している選挙公約などを基に、自分たちの暮らしを良い方向に導き得る投票先はどこなのかをよく考えることが重要となる。
投票先を判断する材料は、公約や候補者の訴えに限らない。前回の参院選、あるいは昨年の衆院選から自分たちの暮らしはどのような点で変わったかなどを考えてみることが大切だ。
本県に関しては、各党や政治家が東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に対して、これまでどのような言動をしてきたかなども判断の材料として役立つだろう。
きょうの開票結果によっては、政権の枠組みなどが変わってくる可能性がある。選挙は投票を通じて政治に参加することにほかならない。誰を、どの党を通じて、難しい課題が山積する国政に参加するのかをよく見極め、貴重な1票を投じてほしい。